はんぶんこ

なつの日差しが上から照りつける。
コンクリートの反射か、したからも暑さの光が反射してなお暑さを感じさせる。


「だめや、むり。溶けるわ」
「絶対口出さんでね、治。余計暑くなる。」
「なまえが言うとるやんけ」
「むりだもん、これ」
「年々暑くなるなぁ」

照りつける太陽、もちろん夏なものだから日差しが一段といい。すこしでもいいから日差しを落ち着かしてほしいものだ。
そうおもいながら、部内の2年で行った罰ゲームのため、校外のコンビニへと治と向かうことになったのだ。

「誰がなんやっけ?」
「侑が豚まん」
「暑いのにアホなんか、あいつ」
「角名はアイスボックス」
「氷アイスなぁ、うまいよなぁ」
「銀は冷たいもん」
「なんやねん具体的に言えや」


はー、なんやねん。もう全員が行けばええやろ。と不貞腐れる治を傍目に銀に飲みもんとかでいいのかと連絡をおくり、ええよ。飲みもんならコーラがええ。と返事が来たことを確認する。

「ほら、ついたで、みんなの分買うてさっさと戻ろうや」
「あつい」「言うなっていうてるやろがい」

べしっと治の腕をたたいて銀のコーラと角名のアイス、侑の豚まんはさいごにレジで頼むから後回し。

「治、何買うん?」
「悩んどる。」
「なにと」
「アイスと飲みもん」
「わたし飲み物買うから、治アイス買えば?あげるよ」
「!」
「そんなに目をかがやかせないでくれ」
「ほな、なまえ飲みもん持ってきて!俺サイダーがええ!」
「お前本意かーい」

まぁ、ええけど。買いたかったのサイダーだし。お願いされたもの以外も詰めたカゴが段々と重くなってきたので治にわたしサイダーを探しにドリンクコーナーへと向かいお目当てのサイダーを選ぶ。

かごにポイとサイダーをいれその前にアイスを入れた治はさっさと帰ろうとレジに向かい、会計へと向かい、侑の豚まんも頼んでお金をわたす。袋詰めの際にストローも頼む。

「ありがとうごがましたー」

「さ、帰るで。もうあかんほんまに溶ける」
「片方貸してや。2袋もあるんに私が侑の豚まんだけなんおかしいやろ」
「そんならこっちのが軽いからこっち持って」
「お前、そんないつ優しくなった?」
「俺はずっと優しいわ」

ガサガサと買いたてのサイダーを取り出しストローをさす。

「なんでストロー頼んだんやろと思っとったらそれな」
「治が飲むんに気になるやろ?」
「いやならん」
「あっ、そう」

それでもストローで飲み炭酸が喉を通る刺激と冷たさに満足する。
やはりこの暑い日にのむ炭酸は美味しい。

「なまえー俺にもくれやー」
「はいはい、お待ちくださいねー」
「待ちませーん」
「っあ、こら」

ストローを抜こうと治を止めればその抑止すら聞かず、そのままストローでサイダーをのみはじめ、満足したようにわらう。
この男のこういうところがモテるのだろう。
困ったものだ。

「うまいなぁ!やっぱええなぁ!」
「そらぁ、ようございました。」
「なまえそこに入っとるパピコ出して」
「はい、ドーゾ」

頼まれた通りに自分の持つ袋から頼まれたパピコを出す。治は器用にそれを開けパキッと二つに割る。
そしてそれをそのまま私に差し出してきた。

「え?どういう風の吹き回し?」
「たまにはええやろがい!」
「きれないでよ、ありがとう」
「なまえはオレにサイダーくれたからな。これはお返しや」

満足げに私に伝えるがそれでもあの治が他人に自身の食べ物を渡すなどなかなか考えつかない。
パキッと隣で開けたアイスの蓋に詰まったアイスを颯爽と食べ切り、本体のアイスをそそくさと食べ始める治をみて、やはりこいつ暑さにやられたかと思いつつ、はたまた食べた瞬間に何か言われるのではないかと思いつつ蓋をあけて食べ始める。

「うまいなぁ、パピコ」
「せやなぁ。またたべたいなぁ」
「ほなまたはんぶんこしよな」
「またくれるん?めずらしいな、なんかあったんか治」
「…好きな子にくらいこういうことするわ」
「なんて?」
「なんでもあらへん!」


本当は聞こえた言葉に少し耳をあかくして、横を見れば私に合わせてゆっくりあるいてくれる治の耳も真っ赤になっていた。

これが夏の暑さのせいなのか照れたからなのか。
その正解は本人にしかわからない。
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