「うん」
「ねぇ!好きっていってやー!」
高校2年、春。
彼氏に毎日好きとつたえ、頷かれる日々。
何度伝えようと、何度聞こうと彼氏はわたしに好きと言ってくれない。
「なぁ、りんちゃーん」
「何?」
「好きって言うてやー」
毎日毎日、朝会う時、お昼食べる時、帰り際にお休みの前。
何度も何度もなまえが好きと伝えてもりんちゃんはなまえに好きとは言ってくれない。
「なんでなん」
「毎日言うとるからやん?」
「なまえはりんちゃんのこと毎日好きやもん!」
「いや、だから明日ぐらい受け身になってみぃって」
「…っは!」
「この子アホなんやろか」
「今日のお昼からする!」
いつもなまえが言うとるからりんちゃんが言えんのか!そうやったんか!るんるんになってお昼休憩のなった瞬間にりんちゃんの教室へお迎えに向かう。
ガラッと扉をあけていつも通り1組に登場する。
「りんちゃん!ご飯行こぉ!」
「ん、」
「今日も熱烈なお迎え来たな」
「りんちゃん、す…」
そうだ、今日は言わんって決めたんや。
りんちゃんからの好きの言葉聞きたいもん。
いつも勢い任せで出してた好きの言葉に初めてつまったことにりんちゃんだけでなく、治くんも気づいたらしい。
いけない、すきやって言いたい。
「なまえちゃんどうしたん、いつもの好き好き攻撃しないん?」
「な、なんでもいいやん!りんちゃん行こう!」
「え、あ、うん」
りんちゃんの手を掴み裏庭へと向かう。
途中もりんちゃんは何か言いたげだったけどなにも言わなかった。
それからというもの1週間、りんちゃんに好きというのをやめていよいよ周りがざわつき始めた。
「あんた、まだそれやっとるん」
「りんちゃんなまえのこと好きちゃうんかなぁ」
そないなことあるかい。と友人はいうがあれからなんだかんだ一度もりんちゃんはなまえに好きと言ってくれない。これでは本当になまえだけがりんちゃんを好きみたいだ。
「りんちゃんはなまえのことなんか好きやないんや」
「おーおー、なまえちゃんが珍しく病んどるやんか、角名か?」
「侑くんは相変わらず顔がうるさいわ」
「お前ほんまそういうとこやぞ」
「何がや、りんちゃんが一番イケメンやし。」
「侑くんやってー」
「なまえ!」
「りんちゃん?」
ガラッと扉を開けて私の名前を呼ぶりんちゃんは珍しく顔が青ざめていて、息を切らしている。体調が悪いのだろうか、心配になり歩み寄ってみれば肩を鷲掴みされた。
「侑はだめだ、こんな人でなしなまえは耐えきれないよ」
「何が?」
「治もだめ、あいつもDNA侑とおんなじだし」
「知っとるよ」
「俺もなまえのことちゃんと好き。」
離れないでよ。
その一言を呟くと同時にりんちゃんは私を強く抱きしめる。なまえが慌てようと恥ずかしがろうと何を言おうとはなしてくれなさそうである。
「なんで好きっていうのやめたの?嫌いになった?」
「なまえりんちゃんのこと好きやで?」
「うん、だから毎日、好きって言って」
「りんちゃん?」
「俺もほんとに好きだから」
1週間好きを伝えない作戦は効果的面だったがどうやら度が過ぎたらしい、まさかこんなところで伝えられると思ってなかった。
顔が真っ赤なことがかがみを見なくともわかる。
おずおずとりんちゃんの背中に手を回せばまた、りんちゃんの腕に力がこもる。
「なまえはりんちゃんすきやで。りんちゃんも好きって言ってくれな、なまえ寂しいねん。やから1週間言わんかったん。ごめんな」
「俺もちゃんと好きだから、これからは伝えるようにするから毎日聞かせてね。」
次の日からは今まで通りなまえからの好き好き攻撃が再開して定期的に角名からも好きという言葉が返ってきたとか何とか。
「りんちゃん!好きやで!りんちゃんは?」
「俺もなまえ好きだよ」