それが私のバレーボール

「バレーしよ」
「いつもしとるわ」
「バレー部やしな」
「急にどうしたの?」
「さぁ?」
「みんな冷たい!」

8/19、バイクの日らしい。でも読み方を変えればハイキュー(排球)とも読めるではないか。
バレーボール部のマネージャーとして、この日はバレーをしなければと思い立った次第だ。

「みんなやろうやぁ、なまえとバレーしようやぁ」
「ぐずり出したで、なまえ」
「つかれとんのか?飯食え飯」
「治じゃないんだからさ」
「なんで#名前#突然呼び出してこの5人でバレーしようと思ったの?」
「8/19やから」

高校3年なんてあっという間で私たちに残された時間は後1年半。来年はきっと受験やIH、考えることも沢山できっとこんなふうにあそぶことも減ってしまう。

「マネやから、試合に混ざることできんけど、1回ぐらいみんなとバレーしときたいなぁって思ってん!思い出欲しいやんか」

「…」
「え、なにあかんかった?」

「おい、ボール持ってこい、銀」
「俺ネットはる」
「ツム対俺らな」
「なんでやねん!!」

「やるんやろ、バレーなんや知らんけど、俺らの可愛いマネージャーからのお願いやもんな、ちゃんとやったるわ」

高校2年夏、IHは準優勝。王者 井闥山に負けた。
侑なんかは2位やったか3位やったか、どっちだったかなんて言って、かっこよくうちの弾幕を言ったりしてたけど、わたしにはどうやったって忘れられないのだ、

思い出なんかいらん。なんて言われたってわたしは思い出が欲しいのだ。
あんたらとの思い出が欲しい。

将来なんて誰も約束されてない。やりたいようやればええ。でもふと振り返った時に高校の、この時が楽しかった。とみんなが言ってもらえるように。マネージャーがいてよかったと言ってもらえたら。

まるで妖怪のような彼らを近くでずっと見ていられる私は幸せであったと私は彼らに自慢するのだ。

「おっしゃー!俺の本気サーブやったるわ」
「なまえ狙うなやー、侑」
「つーかほんまにこっち一人なん!?だれかこいや!」

「楽しそうやな、なまえ」
「うん!たのしいなぁ!やっぱあんたらとおるのが楽しい!」

稲荷崎高校体育館、この場所でこの問題児たちを手伝って手伝って、準備して、それがわたしのバレーボール。
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