06

「お、おった」
「あ、はい。おりますね、今日の試合はお酒と治さんのおにぎり片手に試合見て宮さん凸するて決めてるので…」
「推しに会いに行く時酒入れるの毎度どうにかしなよ、名前」

昨日言われた通り、おにぎり片手に観戦するためにおにぎり宮の列に並んだ。
対応はやっぱり宮治さんで昨日と変わらない柔らかい雰囲気で迎えてくれた。
ただ1回しかお店には行ってないが昨日の今日だから覚えてくれていたらしい。

「名前ちゃん、これ昨日うちに忘れてったやろ。」「え、ありがとうございます。ケータイにも入れてたけど、無くしてやばいなって思ってたので助かります。」

ついでに昨日紛失したと思ってやってしまったー!と騒いだ手帳も受け取る。お店に忘れたとは。社外秘の情報とか書いてる手帳じゃないからよかったけど、自分の予定が全部詰め込まれた手帳でケータイにも予定は入れてあるけど、見つかって良かったと思う。

「あー、先に言っとくわ。すまんな」
「?」
「なんかあったら店に電話してくれ、言っとくわ…いや、この後自分で言えると思うわ」

昨日と同じくピリ辛きゅうりと今日は鮭をもらい、手帳をしまいかけると治さんが声をかけてきた。治さんが何かをしたわけではなさそうなので恐る恐るページを捲ると1ページ目に文頭名前ちゃん末尾にケータイのクリアケースに入ってる年パに書かれたものと同じサイン。
その間には明日の試合も勝つからたのしみにしててな。来てくれてありがとう。試合の後またきてな。と続く文字。

「こんなファンサは知らない」
「お前は毎度認知までのスピードが速いんだよ。もうすこしかかれよ、他のオタクが可哀想だろ」
「それファンサでええんか、ただのイタズラやで。ツムに試合あとキレてええやつやで」
「これはただのファンサです。あとこんなすぐ認知は私もオタクに殺されるから多分認知じゃない。」

あいつ中も見とったからほんまキレてええよ。年パスのことは覚えとったで。認知じゃねぇか!と聞こえたがそれどころではないのだ。名前はまぁきっと昔追ってた人のチケットの名前印字を見たのであろう、多分年パをみた治さんが宮さんに伝えてこうなったんだろうなと思う。
まだまだ認知までの道のりは長いので今日からはインスタのDMが開けられてたことをいいことに自分とわかるように今日の写真をアイコンにして、連絡してみよう。通知切られてるだろうけど、送るだけはタダである。

「翔陽くんもDMしたら返してくれるかな」
「送るだけはタダだよ。今日送ろう」

二人で一緒にDMしようと決めて
先日チケットをもぎ取った指定席へと向かい途中で売り子さんからビールを買って席で手帳の写真を撮ってひっそり待ち受けにした。





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