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「今日のツムきれきれなや」
「あ、翔陽くん今のすごいかっこいいしかわいい罪深い」


時間は刻々とながれ、気づけば4セット目このセットを取ればブラックジャッカルはEJPに勝つと言った結果状況。
いつもは早く終われ、なおかつ勝ってという願いが強いが今はできれば先日の件を先延ばしにして少し考える時間が欲しいので少しでも伸びろと念じる。

そんな願いもつゆ知らず、侑さんはどうやら絶好調で今日何番目かのサービスエースを決めていた。

「はうあ。」「名前の語彙力」
「昨日の件は置いといて、今日も推しが綺麗で好き」


正直に言えば答えなんて決まっているのだ。
ただ、答えをだして離れられるのが嫌なだけ。
遠ざかってしまうのが怖いだけ。
嘘かもしれないと、本当はからかっているだけだと、そう思いたいだけ。
昨日の夜が実は夢で侑さんはそんなこと言っていないかもしれない。

「ねぇ!名前あとすこし!勝てるよ!勝ち試合じゃん!推しが優勝だな!?」
「何言ってんの、いつも推しが大優勝だわ」
「自分らいつもそんな感じで見とったんか」

はじめて観戦中の私たちを見た治さんは目を開き気味に驚く。
私たちはただの少し喧しいオタクです。
これがいつものこと。と伝える。

点数は26:25 あと1点と取れば勝ちゲームになる。
EJPが点を取ればさらにゲームが進む。
早く勝ってほしい。会いたい。
まだ続いてほしい。考えたい。
私の二つの気持ちもぐちゃぐちゃになって、
考えがまとまらない。

だからだったとこの日は述べたい。


「侑さーーん!勝ってわたしの話をきけーーー!!」


「お前のそういうとこだぞ」
「名前ちゃん男前やな」


立ち上がり、体育館に少し響くわたしの声、
コートまで伝わったかはわからない。
勢い余って発した言葉は周りの人になんだという顔をされてじろりと見られたが気にしない。
二日酔いで痛む頭じゃ何も考えられない。と決定づけさらには叫んだことで頭痛を伴ったがいまはそれどころではない。

「勝たなきゃ言ってやんないからなー!!」

「だからお前のそういうところ」
「昨日までの名前ちゃんどこいったん。消えたん?」


今朝までとは打って変わって強気な発言を自分でも自覚している。
言ってしまったからには言わねばならない。
伝えねばならない。

「本当に、あんたのそういうところ大好きだよ」
「ありがとう、萌絵果」

ダァンと大きな音を立てて、日向くんから侑さんへセットされたボールはEJPのコートに落ち、この試合はブラックジャッカルの勝利で幕を閉じた。






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