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「ねぇ、萌絵果、何言った」
「いや、ここまで色々はいってない、連絡したらとは言ったけど確かに伝えたけど」


帰り道、わたしの終電まで飲んで萌絵果をわたしが住んでるマンションに連れて行く、途中でコンビニによりレモンサワーのロング缶を2缶とおつまみをいくつかそしてメンソールのタバコを購入した、そこから歩いている途中いつになくケータイが鳴るものだから少しぼーっとする頭で開けば通知欄には“Atsumu Miya”の文字。その文字を見た萌絵果が勢いよくケータイ画面をスワイプすれば少し長めの連絡。ほんまごめん、そんなつもりなかってん。からはじまる連絡は名誉挽回というような、彼女はおらんし、今大切なのはバレーと名前ちゃんやから信じて。と続く。

「あんた、いつ宮侑の彼女になったの」
「なってないなってない、りあこ気味だっただけで告白すらしてないし、されてないけど」
「いや、煽ったけどさそうじゃなくない?」
「煽ったんかい。」

えー、もはやこれは逆に疑いたくなるからやめてくれよ…と話す萌絵果を横目に、わたしは逆に少しでも自分のことを考えて、送ってくれたと思うとまた涙が溢れそうになる。
例え、萌絵果に煽られたからとかそういうのでも嬉しいものである。

「名誉挽回してんのかな」「そうなんじゃない?」
「優しさで返事は2時間後くらいにかえすね」
「即レス女が怒ってるじゃん」「今日のは本当に聞きたくなかったんだもん。推しの恋愛聞きたくない。調べるけど」「大きな矛盾」


少し時間が経てば落ち着いて考えられて、高校生の時の話だしと思える。聞きたくはなかったけど。
少しやはり腹は立つので返事はお酒を飲み切ってからにする。
次の試合は来週。この日は仕事の都合で行けないので次の現場は再来週。
きっとそれまでにはこの感情も落ち着いてまた、ただのオタクになれるはずだから、だから。

「いまだけりあこでいいかなぁ」
「いやずっとりあこ」
「うるさい」

帰り道、プシュッと缶のプルタブを開けてぐいっと酒を飲んだ。



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