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「(あ、今名前の地雷踏んだな、宮選手)」
瞬時に察したし、名前の顔が暗くなるのも目に見えてわかった。
『侑さんの匂わせ女いた、むり』
『その女、もうオタク辞めてるから大丈夫』
『でも、彼女だったら無理』
『こないだ翔陽くんに聞いたらいないって』
やだぁ…むりぃ…と泣き言を吐いたのが先週。
まさかこの子がこんなに宮侑という人にハマるなんて思ってなかったし元々ハマり方がりあこのそれに似ていたのも知ってた。前の推しも彼女いたら病むけど2.3日後にはケロッとしてることが多かったし匂わせにも負けずに負けないしと大声で叫んでいたのに今回は今週もそれを引きずっていたもんだから正直なところ驚いていた。
「まぁ、あれ一回きりやし、高校生の頃の話やからあれやけどな」
「そういえば、侑あの日やけにそのねーちゃんに引っ付いたったもんな。」「一目惚れやったから、こっちの人やし連絡先知らなあかん!っておもとってん!言うなや!」
あぁ、これまじやばいそろそろ決壊寸前だわと思って宮選手の手に繋がれた名前に声をかけようとした時だった。
「お前、それファンの子の前でしかも手繋いでする話じゃねぇだろ」
と角名選手が宮選手から名前を引き剥がす。
「おい、角名なにすんねん。」
「お前の彼女じゃないんだから俺が別に肩引っ張ったってなんもないだろ」
「あるわ!俺のファ「ファンなのは知ってるよ、だからお気に入りとか言ってんだからその子が近くにいるときぐらい顔色伺えって言ってんの」
「え、」という侑さんの声とぽたと名前の涙が落ちてくるのはほぼ同時で名前は居た堪れないのかその場から逃げ出した。
銀島さんは気まずそうにオロオロとしている。
だいたいこうなった時の逃げ先は園内だと限られる。
だいたいわかる。
あと一つ、確認したいことがある。
それを確認してからだ。
「お前、さすが人でなしやわ」
「え、やって、今やないし、今は名前ちゃんが…」「それはお前が勝手に俺に相談しとっただけであって「あの、一ついいですかね」萌絵果ちゃん?」
「迷子になったのって高校の旅行とかじゃないですか?」
「そやけど、どうしたん?」
あまりに似た話を私は知っている。
「もしかして、声をかけたのこの中にいません?」
私が思っていることが本当ならこの話くだらないお話だ、正直そんなことがあってたまるか。とも思ってる
たしかにあの時、今思い返せば双子がいたようないなかったような気がしなくもない。
「え、あ、お、おるけど…このねーちゃんやけど、髪の毛の毛先がピンクでグラデーションになっとったから忘れん。てかなんで写真」
「それじゃあ私名前捕まえて慰めてくるんで反省だけしといてくださいね。」
確認だけ取れれば満足なのでもう大丈夫ですと言わんばかりに話を切り上げる。
「いやいやいや、俺行くで。ここはそういう…」
「今、何か声をかけたってあの子何も聴きませんよ。そういう子です、あなたが初恋をした子は。」
宮選手が指差して、初恋だと告げた声をかけた毛先がピンクのグラデーションの髪の子は今、ピンクブラウンの髪ですよと伝える。
呆然とする宮選手に次名前と行く試合2週間後が予定なのでDMとか頑張ってみたらいいんじゃないですかね。と余談で伝えてきっとセンターオブジアース近くに存在する喫煙所へかけた。
いつも何かここで起きるとそこに逃げてることを私は忘れてないんだから。