白鬼 甘い香りは花か菓子か。 「これはまた。―――お見事」 「ん?ああ、いや。馴染みの女の子にチョコを沢山貰ったからね。お返しにと思って」 「これ全部義理のお返しですか。出費ざまあ」 「いちいち癪に障る男だなお前も!いいだろう。僕にくれるって言う気持ちが嬉しいんだから」 「いっそこれだけの花やらジャムやら揃えるなら貴方自身を捧げた方が手っ取り早いんじゃないですか」 「あー……。それはもう先月中にやってる」 「『バレンタイン有難う。嬉しいよ。チョコも良いけど君が食べたいな』とかですか」 「妙に良い声で言うなよ耳が腐る!!あと無駄に似てるな僕の真似」 「で、どうなんですか」 「……そこまで露骨じゃないよ。お礼に僕を一晩あげるけれどどうしたい?って聞いて盛り上がったりするだけ。女の子の自発的な行動!僕は悪くない!!」 「はっ。ケダモノが」 「お前、男としてどうなんだよ。このシュチュエーションで萎える奴は居ないだろうが。なあ鬼神様?」 「私はそこまでがっついていませんよ。ですが、据え膳喰わずして何が男か」 「最終的には僕と同じ結論じゃねえか。無駄に良い顔しやがってコノヤロウ」 「で」 「ああ?」 「私には無いんですか」 「何が」 「お返し」 「僕、お前からは何も貰って無い気がするんだけれど」 「ぶつけたでしょう。カカオ」 「ああ。あの腰にクリーンヒットしてしばらく腰痛で女の子と遊べなくなった、あの―――アレお前か!」 「おや気付いて無かったんですか。せっかく一番強度の高いカカオを選んだというのに」 「いやいやいや。違うよね。それ贈り物としての判断基準とちがうよね」 「ですので、私の労力込みで5倍返しは固いでしょう」 「重ねて勝手な自己完結!?」 「さあ。どうするんですか。用意してない様ならこちらから行っても良いと判断しますよ」 「何を!?」 「ナニを」 「ちょ、ちょっと待ってと言うか落ちつけと言うか下剋上宣言ダメ絶対!!」 「はあ?誰が下剋上するなんて言いましたこのすっとこどっこい」 「は?」 「私が無理やり喰わせるだけです」 「はああああああ!?」 「まあ、私が満足するまで帰しませんけど」 「ちょ、此処僕の家ですけれど鬼灯サン」 「今夜はベッドで寝られると思わないで下さいね」 「ここでまさかの床宣言!」 「お返しが無い貴方がいけないのですよ。だから安心して私で遊ばれて、あ間違えた。私と遊んで下さい白豚さん」 「安心出来る要素が微塵も無いわボケエエエエ!!」 (ハッピー?ホワイトデー!) |