「どうしよう、何書くか決まんない…」


今度の課題を必死に書こうと
図書館で奮闘している私の名前は
有栖川 咲(ありすがわ さき)。


今年の春めでたく
文系の大学に受かった新入生である。


「そもそも自由課題だから
何書いていいかわかんないんだよ。」


「お、珍しい、
咲が真面目に勉強している。」


「なんだ、良(りょう)か、
良は課題何書いたの?」


「俺は本の論文みたいなの書いてる。」


「読書感想文みたいなの?」


「あぁ、そうだけど。」


今話をしている彼は
一ノ瀬 良(いちのせ りょう)
私の幼馴染みである。


「そんな論文みたいなのじゃ、
みんなと同じじゃん。」


「んじゃあ、お前は何書くんだよ?」


「うーん、
小説でも書こうかと思ったんだけど、
何かいい資料ないんだよね。」


「お前小説書くのと
運動神経はいいもんな。」


「お褒めにあずかりどーも。」


「じゃあさ、
お前の得意なファンタジー小説でも
書いたらどうだよ。」


「そうだね、そうするよ。
ありがとう。」


(ファンタジーか、
童話とか調べて見ようかな。)


ファンタジー小説の本棚の場所へ
移動する。


「ファンタジー、ファンタジー…」


(ん?何か落ちてる。)


「あぁ、不思議の国のアリスかぁ。
懐かしい。」


手に取りパラパラとページを捲っていく。


『見つけた、もう一人のアリス』


「えっ?」


『ワンダーランドを助けて』


捲っていたページから
眩い光に包まれ私のワンダーランドの
始まりの日は突然始まることになった。



眩い光が消えたあと
そこには童話がバサリと落ちていた。





- 3 -

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


もどる