虎視眈々 1


「やっぱりキサキは俺のことよーくわかってるわ!お前なしじゃ俺生きていけねぇよ〜。」

そう冗談めかして言う英太がひどく恨めしかった。
どうせ、冗談だ。
本当に俺が居なくても、英太は生きて行ける。確信を持って言えることだ。


英太は本当に普通のやつだ。
普通過ぎて普通じゃないよお前、と言いたくなるような平均っぷり。
身長、体重、成績、運動神経、容姿。全てが平均的。
だけど、人懐っこい笑みとちょっと天然な性格が好かれる、俺の親友だ。

そう、親友。
俺と英太は親友。
俺は英太のことが恋愛として大好きなのに、英太は俺のことを友達として「好きだ」って言う。
好きであることに代わりはないが、一生報われない片思い、といったやつをしている。
友達の域を超えられない。向けられる好きという言葉。何度も何度も、言われる度に辛くなる。
最近はもう、報われようと思うから辛いんだ。男の英太を好きになっちゃった俺が悪いんだ、と思うことにした。



でも、やっぱ振り向いて欲しいって思っちゃうんだよな。



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