ぼくとそらとでーと


「ね、空。ぼくたちって、普通にデートしたことなくない?」

いつも通り、教室で空と向かい合わせでご飯を食べていたら、なんとなく思いついて、尋ねてみた。
空はあ!とかいいそうな感じで目を見開いて、そして納得したように両手を合わせた。
ぺちん、と情けない音がする。


「そうだよ、俺達になにか足りないと思ったら、それか!さすが柊!」

空はお馬鹿なのかな。
そのくらい気付くでしょ。
ぼくが凄いんじゃなくて、空がお馬鹿なの。


「よし、そうと分かったら今日の放課後は俺が予約な!普通のデートしようぜ!」

やっぱり空はお馬鹿だ。
なんだか、わんこみたい。
おめめをきらきらさせて、嬉しそうににっこにこ笑ってる。
尻尾があればふっさふっさと左右に振ってるんだろうなぁ。

ぼくらの周りの人は、生暖かい目線で僕らを見ていた。
お互いに浮気はするけど名物バカップル、ってやつらしい。
訳わかんないけど本人達が幸せそうだからいっか、って放っておかれてる。



放課後、ぼくらは駅前のモールに来ていた。
ざわざわで人いっぱい。
普段だったら嫌だけど、空といっしょだからるんるん気分。
嬉しいから手も繋いじゃお。サービス!


「柊、俺なー、観たい映画があんの。見ていー?」
甘えるように言う空。かわいい!
「いーよ、空と一緒ならなんでもいー。」
空はにこーっと満足げに笑うと、最近CMがいっぱいやってる海外のアクション映画のチケットを買いに行った。
隣同士の席で、二人でひとつのポップコーン。
ぼくが好きなキャラメル味。空みたいな甘い味。




ぼくは興味がない映画。
ふぁ、とあくびが出る。でも寝ちゃダメだよね。
隣では空が楽しそうに見てる。
映画の内容に合わせて百面相。
面白いから、映画より空のことを見ることにした。

しばらく見てると、ぼくが空のことを見ているのに気づいたらしい。
映画は丁度、ヒロインとのラブシーン。

にやっと空は笑うと、ぼくの顔を優しく包み込んだ。
やさしいやさしいキス。
蕩けちゃいそうな、優しいキス。



やっぱり、甘ったるい普通のデートも、ありかも。







<終>



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