Clap

拍手ありがとうございます。ささやかながらお礼文として「実家に帰らせて頂きます!」のSSをご用意いたしました。その後のお話です。




宗太にキスされてから、一週間が過ぎた。
完全に頭にきている俺は、宗太を見かけても逃げることもせず、睨みつける毎日が続いていた。
宗太も俺のただならぬ様子に怖気づいたのか、無理に追いかけたりしないし、声もかけてこない。

親衛隊も、俺と宗太が関わらなくなってからは静かになった。
平和な日常が戻ってきたのだ。



食堂で昼食をとっていると、宗太が近くの席に座ってきた。
もちろんガン無視。
視線がうるさいが無視だ無視。
俺のファーストキスを奪った罪は重い。

「よかったじゃん雅。」
茶化すように笑う友人。
爽やかな笑顔がむかつく。
俺は当てつけのように、「もう関わりたくはねぇな。」と返した。
俺は怒っているのだ。
態度が悪いと言われようが知ったことじゃない。


視界の端で宗太が悲しそうな顔をしたのが見えてしまった。
罪悪感が生まれたが、悪いのは向こうだ、と言い訳をした。
元々頑固な性格なのだ。
謝るまでは絶対に許さねぇ。


そう思っていたら、宗太がいきなり立ち上がった。
そのままつかつかとこちらに近寄り、そのまま俺の足元で土下座した。



土下座した。




宗太が。
あの、宗太が、である。



「ごめんなさい!」




食堂に響くような声での謝罪。
しかも土下座。

俺は生徒会役員になんてことさせてんだ、と顔が真っ青になった。


「いいから立て宗太!大の男が恥ずかしい!」
そう言って小突くと、宗太はゆっくりと顔を上げた。
地面に正座したままで立とうとはしない。

「雅クンは、オレのこと嫌いになった?」
垂れ下がった犬耳の幻覚が見えるんじゃないかってくらいしょんぼりとした顔と声。
俺が悪いみたいだ。
……悪いんだけど。

「オレとちゅーするの、そんなに嫌だった?」
「当たり前だろ!!?ファーストキスだぞ!!!!!?」

宗太がそんなこと言うもんだから、また頭に血が上って、綺麗な頬をビンタした。

「いひゃい!」
「大体付き合ってもいねぇやつにキスするか?普通!キスは付き合ってからだろ!?」
「じゃあ付き合ってるならいいの!?」
「ああ!」

周囲がざわつき始める。
悪いな、騒がしくて。
一緒にご飯を食べてたはずの友人の姿は、もうなかった。


「じゃあオレと付き合ってよ!」
「あーいいぞ!?」
「やったぁ!!!」


宗太がガッツポーズする。
え?
あれ?
今俺、なんて言った??


「やった〜!雅クンと付き合えるぅ!!」
そう言ってがばりと俺に抱きついて、頬にキスをした宗太。

俺は自分の軽率さを嘆いた。
返事はちゃんと話聞いてしような。

嬉しそうに俺を抱きしめる宗太に、弁解することなど出来るはずもなく。

多くの人の目の中、俺に彼氏ができました。


…母さん。
俺、選択肢間違えたみたいです。




<終>





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