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ライト



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「あら?」

とある春の日の真昼間。南モウゼスに用ができたウンディーネは、南北の境を越えて南モウゼスにやってきていた。
用が済みしばらく街を歩いていると、非常に見慣れた格好の人間を発見して、思わず声をあげる。
全身が真っ赤のそいつは、滅多に館から出ない。普段は屋内で研究に励み、ちょっとした引き篭もりのような状態になっている。
そんな奴だから、どういう事情があって外出したのか多少気になるところだ。
昔は犬猿の仲にあったが、現在は前よりは仲は悪くない。気まぐれで、声を掛けてみるところにした。

「あなたが外出なんてお目にかかれない光景ね。一体何事?」

そう言うと、あからさまに眉間に皺を寄せてからそっぽを向いた。

「・・ただの用事だ。お前こそ一体何でこっちにいるんだ?ウンディーネ」
「私も用事よ。しかし本当に珍しいわね・・・?」

そこまで言ったところで、目の前の人物に何かが足りないということに気づいた。
本人に何か足りないというわけではなく、ハンバーグの隣にあるパセリや、パフェに入っているポッキーのような足りなさ。横だ。横に何かが足りないのだ。
しばらく考え込んだが、ようやくその正体を理解する。

「ボルカノ・・あの子はどうしたのよ?いつも横に居たのに」
「何のことだ?」
「とぼけても無駄よ。カーネリア、ずっと前にあなたが外出していた時も隣に居たし、仕事中だって隣にいたじゃない。
喧嘩でもしたわけ?」
「・・・ちょっと揉めただけだ」
「それを喧嘩したっていうんだけれど・・」

ボルカノの表情が少し暗くなったように感じて、ウンディーネはため息を吐いた。
カーネリアはボルカノの助手である。最初は無理やりだったそうだが、仕事を覚えるとかなり腕の立つ助手になったらしく、本人もよく頼りにしていたのに。
怠けていてろくに食事を摂らないボルカノに料理をして食事を勧めたり、机でそのまま寝てしまったボルカノに掛け布団をかけたりと、助手というより妻みたいな役割もこなしている。
しかし恐らく、2人の関係性は博士と助手のような関係でしかないのだろう。そこまで感情を抱いているとは、見ただけでは感じ取れない。

「いつもあなたの為に色々してくれていたのに・・もっと彼女を大切にしてあげるとか、考えないの?」
「俺は何もしていない。あいつが勝手に・・」
「予想できるわよあなた達のことだから。あなたが怠けてるのを注意したのに反発でもしたんでしょう。
ボルカノ・・あなた、カーネリアがいなかった時、弟子にすごく苦労かけてたって聞いてたんだけれど。彼女が来てくれなかったらどうなってたのかしらね」

そう嫌味っぽく言うと、ボルカノは「う・・」と図星をつかれたような表情をした。
とはいえ、少し仕方がないような気もする。ボルカノはあまり人付き合いに慣れていないからだ。
アイテムの販売も弟子任せで自分は部屋に篭りっきり、それ以外の事も大体

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