君と命
お前の髪は綺麗だな。
さらり、と後ろから音がして、本を読むのを中断して視線を頭ごと上へと向けると、そこには赤いあいつが私の髪の毛で遊んでいた。
唐突にそう呟かれたものだから、そいつが言った言葉だと一瞬理解できなかった。私に対してはあんまり素直にならないからである。
私は読みかけの本に栞を挟み、わざと音をたててパタリと閉じた。それを横に置いてから、後ろへ振り返る。
「突然どうしたんだ?ボルカノ」
「・・いや、そのままの意味なんだが」
ボルカノは、なおも私の髪を弄び続ける。
「こうして見てると女の髪に見えてくるから不思議なものだ」
「まあ、夏は結構困りものだけどな」
「切らないのか?」
「括ればなんとかなるし、好きで伸ばしているから、今のところ切る気はないさ」
そう言って、私は自分の長ったらしい髪の毛を指に絡めた。
人から数多く指摘を受けたりしたのだが、どれだけ言われようと切る気にはならなかった。髪に愛着など沸くのかは定かではないが、なんだかないと落ち着かない。
ボルカノは、私の隣に腰掛けてきた。鮮やかな赤い髪が横目に入ったので、思わず手を伸ばした。
「お前の髪だって綺麗じゃないか、ボルカノ。柔らかいし」
「特に何もしていないのだが・・」
複雑そうに眉を歪めた目の前の男の髪に指を絡ませながら、私は目を細める。
「それでも綺麗なのはいいことだ。私は、お前の髪は前から好きだったさ。綺麗で、鮮やかで」
その鮮やかな赤を口元に引き寄せた。
「思わず食べてしまいそうになるくらいにな」
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この2人大好き・・!ああかわいいかわいい!!
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