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moon



「ナルセス君ナルセス君!」
「・・・はい・・・」

虫たちが懸命に声をあげている、暑い日の夜。
夜でも少し蒸し暑く今日は寝心地がよくなさそうだ、なんて思っていたが、それでもどこか静かな雰囲気を感じ取れる夜だ。
すっかり本に意識を集中させていたところだったので、尊敬する人物の呼びかけにも顔を上げずに適当な返事を返す。と、いきなり椅子を下げられ手を引っ張られた。
流石にびっくりして顔を上げようとすると、先生に強制的に下を向かされる。ちょっと痛い。
相変わらず、この人は何を考えているんだか。
いきなりどうしたんですか、と聞くと、もうちょっと待ってと返事が返ってきた為、仕方なく訳も分からぬまま下を向いたまま待機。そのまま数mほど進む。恐らく窓の方向だ。
しばらくして、顔を上げて、と下向き解除OKのサインが出されたので、ようやく顔をぐりっと定位置に戻した。ら、もっと上に上げて、と指摘される。言われるがまま、さらにぐりっと顔を上に向けた。

その果てに見えたのは、月だった。
ただの月ではない。普段より遥かに鮮明に、美しく、自分達を照らしている。
金色の静かな太陽。
周りは夜の闇に覆われているが、それだけははっきりと存在を主張していて、余計に美しさを増している。
思わず感嘆の声が出て、私は目が釘付けになった。先生が窓際に腰掛け、続いて隣に腰掛ける。意識は、月に向いたまま。

「綺麗でしょう?今日は一年で一番、月が綺麗に見えるんだよ」
「そうなんですか・・・本当に綺麗ですね。驚きましたよ」
「ふふ、これを見せたかったんだ」

君は普段は本ばかり読んでいるし、たまには目を休めないとね、と言って、先生がまた笑う。そうですね、と言って、私もそれに釣られて笑みを零した。
星達が月の周りで微かに光を放っているのもまた綺麗で、今日で感じた疲れもすーっと吸い取られていくような感覚がした。月をこんなにじっくり見たのはいつ振りだろうか。数年振りに見た月の太陽とは違う光の輝きに、私はただ素直に感動していた。
虫たちの鳴き声と2人分の人の息遣いが、すうっと夜の空気に消えていく。

「月が綺麗ですね」

どこかで聞いた言葉。
それに対して、自然に言葉が口から出ていた。

「私もそう思いますよ」

これぐらい綺麗な月はいつでも私の側で見れますけどね、なんて言葉は、心の中に仕舞っておいた。



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ざざーっと書いたものなので多少アレでもアレしてください!(
シルナルで月がryネタ。お団子もぐもぐするとこも書きたかったけど入れれなかった・・。

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