ダイブ!(御剣)



ソファーに座って雑誌を捲っていると玄関で鍵が回る音。帰ってきた!
廊下を進んでくる足音に少しの緊張と多大なる期待を抱えながら、私はソファーに沈んで目を閉じた。寝たふり、寝たふり。



「なまえ君?」

耳に馴染むテノール。
口元が緩みそうになるのを必死に堪えれば、すぐ近くで微笑む気配。
もしかして見破られた?そう思うより早く、頭に優しい掌の感触。



「………ただいま」

小さく落とされた呟き、それを合図にぱちりと目を開ける。一瞬、驚いた視線とぶつかった。


「おかえりなさい!」

えいやっと体を起こして、目の前の広い胸に飛び込む。
腕を回してぎゅうと抱きつけば、ますます驚きは増したようで。

「起きていたのか?」
「怜侍さんの事を考えていたらこうしたくなっちゃって、」

寝たふりしちゃいました。
そう言って笑うと、怜侍さんは困ったようにむうと唸った。照れてる、照れてる。


「……君も立派な女性なのだから、そのようなアレは慎みたまえ」
「このようなアレは困りますか」
「そうではなくてだな、」
「そうではなくて?」


胸に当てた耳から聞こえる鼓動は早くて、思わず微笑む。
真っ赤なスーツに白いひらひら、見慣れた怜侍さんの広い胸。あったかくて、安心する。

「…そろそろ離れたまえ」
「やです…もうちょっと、」

抱きつく腕に力を込める。怜侍さんはまたむうと唸った。
怜侍さんなら私なんて簡単に引っぺがせるだろうに、それをしないのが多分彼の優しさってやつなんだと思う。

「怜侍さん、すきです」
「…う、ム」
「すき、…大好きです」
「……………」

黙り込んでしまった怜侍さん。
流石に困らせてしまったかな、と、その表情を伺おうとして、

「…怜侍さん?…っきゃ、」

離れようとした体は、再び逆戻り。
一瞬のうちに怜侍さんに引き寄せられて、あげく抱き上げられてしまった。所謂、お、お、お姫様抱っこ。

「れ、れれ怜侍さんっ?」
「私の事が大好きなのはよく分かった。だが、忠告を無視するのはいただけないな」

さらりと髪を揺らして、怜侍さんの唇が私の額に触れた。
驚きと恥ずかしさとで何も言えない私を見下ろして、法廷さながらに怜恃さんはにやりと微笑んだ。



「私とて、れっきとした一人の男なのだよ」



そのまま軽々と歩みを進めて、あっという間にふかふかの大きなベッドに、



ダイブ!





―――――
みっちゃんの胸に飛び込み隊
名前変換少ない…




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