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「…本当の気持ち?」
「そうよ」
「……どういうこと?」
「まず…ナマエは、ノボリのことをどう思ってるの?」

びくり、と意識したわけではないのに肩が揺れた

「どうって、いきなりどうしたの?…すごく、優しいひとだよ?いつも気遣ってくれる」
「そうじゃないのよ…違うの、ナマエ、私が言いたいのは」
「うん、わかってるよ…私は、ノボリさんのこと、愛してる、カミツレちゃんが考えてるよりずっとずっと、怖いくらいに愛してるの」

こんなこと、カミツレちゃんに言うことじゃないよね、ごめんね

恥ずかしげに笑ってそう言えば、彼女はなぜかすごくつらそうな、泣き出しそうな顔になった
カミツレちゃんがそんな顔する必要ないのに

「ナマエ…」
「ほんとにちょっと変だよ今日のカミツレちゃん、どうしたの?」
「私…」

カミツレちゃんは何か言うのを躊躇っているようだった
でも、私も、この話の流れから大体の内容がわからないほど頭が悪いわけじゃない
どうしたの、なんて本当は自分から聞きたくない
言うのならいつものカミツレちゃんらしくさっぱりと言って欲しかった
その方が私もこんなにつらくないのに


「お待たせいたしました」


ウエイターがワインを持ってくる
流しに捨てたものと同じ銘柄だった
なみなみとグラスに注がれたそれを一気に飲み干してみれば、吐き気がした

「…私は、今日はナマエに断られると思ってたわ」
「どうして?」
「どうしてって…!」

今日、あなたたちの結婚記念日でしょう…?

「ねえ、ナマエ」

私、あなたのこと実の妹みたいに思ってるわ
本当に心配してるの、あなたの力になりたいの

「だから、お願い、教えてちょうだい」

なんでずっと、泣きそうな顔をしているの


「あなたは何を思っているの?」
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