『とりかへばや物語』は平安時代後期作者未詳の物語で、容姿性質が女性的な兄、男性的な妹の異母兄妹が父によって性別を取り替えられて育てられるというお話です。兄は侍女に、妹は中納言になり、それぞれの官能的、退廃的な性倒錯を中心とした悲劇を経て、二人とも元の性別に戻り、本来あるべき栄華を取り戻すことになります。
『とりかへばや』は直訳すると『とりかえよう』。
はい、当中編『とりかえばやものがたり』は上記の『とりかへばや物語』とは一切関係ございませんすみません!
ある日突然ノボリになったクダリとクダリになったノボリのお話でした。ないようでいて確かにある二人の隔たりを、調子こいてるノボリさんに知らしめるお話でもあります。ちょっとのミスが大きなズレに繋がることをしみじみ感じます。
わかりづらかった設定を解説すると、
・ノボリ、ナマエ→プロポーズ前日にそれぞれクダリ、『彼女』として20年前にタイムスリップする。タイムスリップする前のお互いの情報は思い出せない。
・クダリ、『彼女』→ノボリとナマエがタイムスリップした20年前の世界でそれぞれ元のノボリ、ナマエの人生を歩み始める。
・ノボリは元のナマエの人生を送る『彼女』を、ナマエは元のノボリの人生を送るクダリを元の自分の恋人であると勘違いし、何とか元の人生に戻そうとする。が、当然うまくいかない。
といった設定でした。
ちなみにアニノボさん、アニクダさんイメージです。
当連載は前サイトの二周年企画でした。私が楽しいだけのわがままなお話でしたが、お付き合いくださってありがとうございます!
・タイトル
(互いに 愛し合った 間柄であるので
結ばれずに 終わってしまった 心苦しさを思うと
次第に 儚い世の中を 嘆き悲しむようになるけれど
長年 恋い慕ってきた人が 結ばれるべき人でないのを
現に 知ってしまったので
恋人の 姿形、心遣いなどは
ことさら かの人より 魅力的で心惹かれるわけではないけれど
それもかえって 慕わしく親しみやすいもので 愛おしいと思う)