暗殺チームの仲間に加わってかれこれ半月が経った。
その半月間、私はずっとアジトに篭りっきりだったわけなのだが…(理由は特にない。外に出る理由がなかっただけだと思う。)何故か不意に、外の街を見てみたいと思った。
それを口にすればちょうど近くにいたホルマジオが『行きたいのなら行けば良いじゃねぇか。』と言った。

彼の言う通り、外に出たいと思うならこのアジトのドアを開けて一歩足を外に踏み出せばいいだけのこと。
たったそれだけのことなのだ。
だけど……

『ちょっと、怖いんですよね。』
『怖い?』
『ほら、私が此処にきた理由。』

どこかの誰かを殺してしまった私は、その誰かの仲間や部下に狙われているのかもしれないのだ。(スタンドを扱うことに多少は慣れた今、別に恐れる必要もないのかもしれないが。)

だけど、もし相手が同じようにスタンド使いであったら?
射程範囲外から銃で撃たれてしまったら?

もし…なら、という考えは飽きるほど浮かんでくる。
それを考えるたびに、私は外に出るということに少し尻込みしてしまうのだ。



『だったら誰かが一緒に行けば良いんじゃねぇのか?』

不意にそんな声が聞こえて、ぽんと誰かが私の肩を叩く。振り向けば眼界一杯に広がるのは紫のスーツと金。
視線を僅かに上に移動させればプロシュートの端整な顔が見えた。

『おかえりなさい。』
『おう。』

任務お疲れ様。
そう続ければ何故か頭を撫でられる。
思わず疑問符を頭の上に浮かべていれば『辛気臭ぇ顔をするな。』と言われた。

『なんならギアッチョとかと一緒に行けばいい。』
『あー…ギアッチョなら、ついさっき別の任務で出かけちまったぞ。』
『じゃあメローネ…』
『アイツはリオに何するか分かんねぇだろ。』
『………お前は?』
『俺も、今から任務に行くところだ。』

だから無理、そう言ってホルマジオはソファーから立ち上がる。
なんだか気を使わせてしまっているみたいで申し訳なくなって、思わず口を開いて私は告げる。

『一人でも、大丈夫です。』
『あん? お前さっき怖いとか言ってただろ?』
『大丈夫です。ちょっと散歩に行くだけですし……』

ほんの数分したら戻って来ます。
だから大丈夫。
自分にもプロシュートにも言い聞かせるように続ければ、彼の口から小さなため息が零れ落ちる。
同時に彼は申し訳無さそうに自分も行けないのだと告げた。

『大丈夫です。だって私17歳ですよ? そんな幼稚園児や小学生でもないんですから…』

一人で外にくらい行けます。

そう言って微笑んで、私は椅子から立ち上がった。




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