目を覚ませば、少しだけ世界は変わっていた。


重たい気がする瞼をこじ開けてみれば意識を失う寸前、私を攻撃してきた男が私の顔を覗き込んでいた。
思わず身構えれば『もう何もしない。』と言われる。
同時に、首に包帯が巻かれているということにも気がついた。

『……もう、痛くは無いか?』
『一応は、大丈夫です。……あなたは?』

彼の首筋に出来た僅かな赤い線を示してそう問いかければ『かすり傷にもならない。』という答えが返ってきて、『それもそうか。』と一人で納得した。

そもそも、彼は暗殺という仕事をするチームのリーダーなのだ。
きっとたくさんの傷を負ってきたのだろう。私が与えた傷など、それに比べたら小さいものなのだ。


『……もう、立てるか?』

不意にそう問われて"Yes"と答えれば来いと呼ばれ、慌ててベッドから抜け出す。部屋を出て行こうとする彼を追って部屋を出れば、別の一室へと案内される。

扉を開ければ見知った者たちが部屋にいた。


『新しい"仲間"ができた。』

開口一番、彼がそういえば部屋に居た者達の視線が一気に集まってくる。
痛いほど突き刺さる視線と"仲間"と呼ばれたことに戸惑いながらも『……リオ、です。』と名前を述べ、『よろしくお願いします。』と告げる。
瞬間、訝しげな表情を一様に彼らは浮かべる。
『こんな奴がどうして暗殺チームに?』とでも言うような顔である。
どうやらその雰囲気を察したらしい。隣に立っていた男――基リゾットが『スタンド使いだ。』と一言加えた。

瞬間、『なんだ、スタンド使いなのか。』とでもいうかのように訝しげな視線や空気が消え去り、代わりに『よろしく』と出迎えるような雰囲気が部屋を包む。
一番私の近くにいたペッシは『俺も最近このチームに加わったばかりなんだ。』と笑顔で手を差し出してくれた。
ソファーに座っていたソルベとジェラートは『よろしく。』と2人で同時に言って、ホルマジオは猫を抱きながら出迎えてくれる。
メローネははじめと同じように笑顔を浮かべ、ギアッチョは苛立たしげにだが他の者と同じように『よろしく』と言ってくれた。

残念なことにプロシュートとイルーゾォは部屋に居ないのか見当たらなく、キョロキョロと辺りを探していれば、隣に居たリゾットが
『他にも2人仲間がいるが、仕事中だ。』
と告げた。



とにもかくにも、

こうして私は晴れて暗殺チームの一員となり、


彼らと奇妙な運命を辿り始めることとなるのであった。





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