終幕を知らせるブザーが会場に鳴り響いた。
たった一人の観客である少女は盛大な拍手を送った。
涙を流しながら微笑んで、彼女は大きな大きな拍手と、エールを送る。
ふと、少女は「彼らは星を見るのかしら。」と呟いた。
彼女の背後で会場からの退出を促す声が聞こえた。
そして少女は名残惜しそうに何度も後ろを振り返りながらも、席を立って歩き出す。
光が差す入り口へと向かって、一歩一歩彼女は進んでいく。
同時に彼女は何度も何度も振り向いた。
「……本当に、楽しかったわ。幸せだったわ。」
あぁ、なんて幸福な時間だったのだろう。
そう幾度と呟いて、そして少女は会場から出て行くのであった。
………END?