私は顔の双方についている瞳を閉じました。すると貴方の顔が浮かぶのです。その中での貴方は私にただ一度だけ、ふわりと浮かばせた自然な笑顔で笑うのです。しかし、その瞳を開くとまた、貴方は私の前では見当たらないのです。嗚呼、サソリ様、サソリ様はどこに、どこにいらっしゃるのでしょうか。サソリ様は言いました。

「すぐに帰る」

それは数日前の事です。サソリ様は私に一度たりとも嘘をついた事はございません。なので私はいつものように、その言葉を信じております。サソリ様はきっと直に帰っていらっしゃると。しかし、あれから今日まで、多くの時間が経っております。今までにこんなにも時間が掛かった事はございません。なので、信じるとは言いましたがやはりこのような私でも貴方がとても心配で、そして不安なのです。


がちゃり。あれから数日後、サソリ様はまだ帰っていらっしゃいません。私はいつものようにサソリ様の部屋でサソリ様の帰りを待っておりますと、長く、金色の髪色をした若い男性がドアを開けてそこに立っておりました。嗚呼、その方はサソリ様といつも共に居らす方ですね。その方は話しました。

「あんたはメンバーじゃないからな、」

伝えられてないと思うけど、そこまで言うとその方は一度止まり、ほんの少しだけ顔を歪ませてまた重たそうに口を開きました。

「旦那は、な、」

嗚呼、神様。その方が今口にした言葉は本当なのでしょうか、嘘に決まっておりますよね。だってサソリ様がもうこの世に居ないなんて、そんな事、有り得るはずがありませんもの!そんな、そんな!ねえサソリ様、嘘だと言ってください。貴方が居なくては、一生涯貴方の下についていくと決めた、部下の私はどうすればいいのですか。私にはもう貴方以外に大切なものは当の昔に消え失いました。貴方も私を大切に思っていてくださったのではないのですか。貴方は人を待たす事も、待つ事も嫌いなのではないのですか。私は待っております、早く帰ってきてください!嘘、ウソ、うそ、嘘ですよね、そう、その方に問えばその方は私から視線を床にし、なんとも表せない暗く重い雰囲気で俯きました、そして何も言いません。そこで私はもう抵抗を止めました。その方は嘘をついてはいないのですね、その表情からそれがひしひしと伝わってきます。

がちゃり。その方は部屋から出て行きました。ついに私は一人ぼっちです。今ではもう、視界が滲みに滲んでぐちゃぐちゃに混ざり合い、私の目にはもう何も映りません。嗚呼、この瞳から頬へ伝う雫は何時になったら止まるのでしょうか、






に流してよ


貴方のいない世界なんて


100914 企画:)ライラ様提出

この度は素敵な企画に参加させていただき誠にありがとうございました。意味不明文になりましたがすごく楽しかったです。
誤字脱字ありましたらご一報くださると幸いです。