一体全体どうしたものか。今まで只なんとなく、それはもうゆらりゆらりと冷酷で且つ残酷な現代社会を生きてきた私にとってこの仕打ちは余りにも過酷すぎる。

「好きだ」

さて、この目の前で真っ赤な髪をさらりと靡かせ何一つ表情を変えようとしない男は何を言っているのだろうか。辺りをくるくると見回しても夜のこの住宅街の街中にどこにでもあるような公園には私とこの男しか居ない訳で、この男は誰に向けて言葉を発しているのだろうか、

「お前以外に誰が居るんだよ」
「え、私?」

何度も言わすなよ、などと男は呟くが奴のポーカーフェイスは今だに崩れない。この男は何をどう考えて私にこの言葉を伝えたのだろう、現になんとなく生きてきた私にとって今まで誰かと付き合うなんて行為はしたこともなく、況してや誰かから告白を、しかも直接対面しながら言われるなんて、まさかこれは夢なのか。

「サソリ、冗談は止してよ」
「オレは本気だ」

さあ、この場合どうしたらいい。実を言うと確かにサソリには多いに尊敬もしていたし顔もルックスも抜群にいいと思う。それに知的で仕事もよく熟す。だがこれを恋と呼んでいいのかは曖昧だ。現に今までサソリと行動を共にした事は幾度とあったがその時に特段好きだと思う事は一度も無く、否彼は私にとって良き友人でしかないのだ。

「付き合えよ」
「随分偉そうね」
「まあな、」

そうにやりと口角を上げた男はまるで返事をよこせ、とでも言いたげな冷たい眼差しで私を見てくる。ああ、ピンチだ私。この男を怒らせると大変な事になる事はもう既に身に染みている。だがそんな簡単に恋愛なんて成立していいものなのか、どうせするならちゃんとしたものに私は全力を注ぎたいのにこの好きでもない男に偽りの愛を捧げていいものなのか、

「返事はどうすんだよ」

こつりこつり、一歩一歩確実に奴は歩んで来る。ただでさえ、距離は近いんだ、あと数歩歩けばすぐに私の真横ではないか。どうするの、私。

ぐるぐるぐるぐる、

       嗚呼、吐きそうだ。


自害致す

100912 Title:)濁声

わけわかんねー(^p^)←