「そうなんだー!?」 「うるせえよ、うん」 あの子は可愛いな。だってあんなにデイダラくん達と楽しそうに話しているもの、私はあんなふわふわした可愛い顔で笑えないよ。飛段くんなんておっきな口を開けてゲハゲハ笑っているし、イタチくんまで目元が緩んでいるし、なによりデイダラくんがあんな表情を浮かべるなんて初めて知った。 「いい、な」 例えるなら、そうね、あの子はお花みたい。みんなから愛され、ちやほやされ、それでもって自分が笑えば周りにいる人間も自然と笑顔になれるの。私とはまるで世界が違う人。いいな、いいな、羨ましい。白い肌にすらりと長い足、ふわふわの茶色い髪の毛にくるんとしたまつげとぱっちり二重。もしも、全て私が持っていたらあそこで笑っていたのは私だったのかな、 「どうかしたのか?」 はっとして我に返るとどうやら結構な時間ぼうっと眺めていたようだ。いつのまにか溢れんばかりにたくさん居た生徒が半分くらいになっていた。声のした方に顔を向けるとそこには赤い髪をした小柄な無表情の男が立っていた。 「サソリかあ」 「そんなにあいつらが羨ましいのか」 「なんだ、知ってるじゃん」 聞こえたんだよ、とサソリは呟くとガタンと丁度私が座っている隣の席に座った。なんだこいつ。知ってるなら聞かないでよ、と言いたいのを抑えまたデイダラくん達の方に視線を戻すと最悪な光景を目の当たりにしてしまった。既に飛段くんとイタチくんの姿はなく、あの子とデイダラくんが頬を薄ピンク色に染めながら楽しそうにしていたのだ。頭が真っ白になり思考が止まる。見たく、なかった。不意に視界が滲んだ時、なんだお前、とサソリが苦笑した。 「デイダラが好きだったのか」 「そうだけど」 だけどもう終わりだ。噂を聞いたのは数日前で、学校で一番目かニ番目に可愛いと言っても過言ではないあの子とデイダラくんが付きあっているということ。可愛い上に性格も優しくて、如何にも女の子な雰囲気の漂うあの子とすごくモテるデイダラくんはまるで欠点がない完璧な二人で、そんな二人をただ眺めているだけの私をデイダラくんが見てくれるなんて希望、持てる訳ないじゃないか。 「なんでいつもこうなんだろうね」 ぽたり、目に溜まった涙はもう我慢できなかった。だけど所詮他人から見るとこんな事はよくある哀れな失恋話でしかなく、同情されて終わるか、はたまた最初から無理な恋だったと嘲笑される程度の出来事でしかない。そもそもデイダラくんと話した事なんて臆病な私は数える程しかなく、名前すら覚えてもらえているかもわからない。それでも、 それでも大好きだった。 「なんか、ごめんね」 「、なにが」 「いきなり泣き出して」 「…ああ」 一頻り泣き終えた後、ふと窓を見ると外は橙色に染まっていてもちろん教室に残っているのは私とサソリだけだ。サソリは私が泣いている間も泣くなよ、とか軽い言葉も言わずにただ側に居てくれた事がとても嬉しかった。サソリとは幼なじみで昔から私の事をよくわかっていてくれる。そんな人が側に居てくれたんだと改めて思うと大分気持ちも晴れすごく温かくなれたような気がする。このまま全て忘れてしまいたい。 「このままどっかに逃げちゃいたいな」 「どこだよ」 「だからどっか、気晴らしに」 「なら行くか」 ぐいっと手を引かれ足早に教室を出る。え、冗談だったのに、と言っても返事はなく、握る手はそのまま離そうともせず一向に歩く足は止まりそうにない。そんなサソリの些細な気遣いと優しさが嬉しくて私は貴方の手を強く握りしめた。 共犯者は南へ逃げる 言葉に出来ないほど、貴方に感謝します ありがとう 100808 企画:)誰かの様 この度は素敵な企画に参加させて頂き、誠にありがとうございました。提出期限を過ぎてしまい、誠に申し訳ございません。当作品が初めての企画提出品ですがすごく訳のわからない文になりました←(サソリではなくなっているし)それに企画の内容に当て嵌まる文か不安ですが…書いていて楽しかったです! 誤字脱字ありましたら是非教えて頂けたら幸いです。 |