「ねぇ、星見に行かない?」

よく晴れた蒸し暑い真夏の午後二時。サンサンと輝く日差しが眩しく鬱陶しい。女は立入禁止の屋上に寝そべっている俺にいきなり何の前触れも無くひょこん、と現れ、さも当たり前のように問い掛けてきた。唖然した俺は、は?、と間抜けな声をだし、ただその女を呆然と見上げる事しか出来ずにいた。

「いいでしょ?」
「いいも何も、なんだお前」

俺はここではあまり、いやかなり評判が悪くどこにでも居るような所謂不良と呼ばれる奴で学校なんか滅多に来ない。それにプラスして目立つ真っ赤な髪に元々悪い目つきにおまけに口も悪く、だからお前にはあまり人が寄って来ないんだよ、なんて友人に言われた事もあった。(うるせぇ)そんな奴に一緒に星を見ようなんて言うこいつの気が知れない。そもそも彼女と接点なんて実に僅かなものしか無く、過去に一度すれ違い際にこれ、とだけ言って落とした煙草をなんの躊躇もなく拾って渡された事はあるが、本当にそれだけしか知らない。おかしいだろ、

「なんで俺なんだよ」
「だって、サソリくん空好きでしょ」

は、訳がわからない。俺が空を好き?それより、何故こいつは俺の名前を知っている。ただ悪名は高いからなんとなく知っていただけなのか。

「どうしたらそんな答えになる、」
「だって、いつもこうして空を眺めてるじゃない」

私、知ってるんだよ、そう言ってはにかむ女にとくん、胸が高鳴る。だから星も好きだと思ってね、なんて呑気に奴は話しているが、俺がこうしている訳はただする事もなく、暇だから居る訳で別段空や星が好きな訳ではない。だが女の言葉がどこか引っ掛かり、嬉しいのか不快なのか、この気持ちが何なのかわからないがなんだかこの女、面白そうじゃないか。

「だから行こうよ」
「、星くらい見に行ってやるよ」





100702

相互記念に涼様に捧げます。相互ありがとうございました。とても遅くなり、本当に申し訳ございません。ぐだぐだな駄文ですがせめてものお詫びとして頂いてもらえれば幸いです。ありがとうございました。
誤字脱字ありましたらご一報くださると嬉しいです。