ふわり、ふわりと風が頬を撫でる。この時期のためか少し蒸し暑いが気持ちがいい。自分が今寝そべっている野原に咲く草花も風に揺らされ首や顔に触れ、とても心地好く、瞼を閉じる。久々だ、こんな気持ちは。つい最近までの柄にもなく悩んでいた自分が急に馬鹿らしくなる。人生とは何が起こるかわからない。何をそんなに悩んでいたかというと、どうやら私は好きになってはいけない、所謂禁断の恋というものをしてしまったようだ。絶対に好きになるはずが無かったあの、カン兄に恋をしてしまったというもんだから人生なんて本当にわからない。カン兄は昔から少し地味だが優しく、決してモテる訳でもないが誰からも信用され友人も沢山居る。そんな人だった。元々そんな彼に私は尊敬を抱いていたが特別好きだとか格好いいとか、そんな気持ちは一切持たない、はずだった。それなのに最近は何故だかカン兄を自然と目が追っていたり、目が合うとどくん、と心臓が一つ鳴る。嗚呼、これは恋なのか。気がついた時には不安と罪悪感に満ち溢れ、時折涙を流す日もあった。


「おい、起きろよ。そんなとこで寝てたら風邪ひくじゃん」
「カ、ン兄、?」

聞き慣れた声が聞こえ、瞼を開くと例のカン兄が微笑していた。どうやらあのまま寝てしまって居たらしい。

「ほら、帰るぜ」
「え、私まだここに居たい」
「いいから帰るじゃん」

ほら、と言って差し出された手は温かく、尚更帰りたくない、そう思わずにはいられず、気がついた時にはその手を自分へと引きずり込む。うわっ、と言い私の上に倒れ込むカン兄にどくん、また一つ心臓が大きく鳴った。

「な、なにすんだよ、!」
「ねぇ、空がすごく綺麗よ」

ふと目に入った空があまりにも綺麗で、一瞬世界が止まった気がした。私の言葉に空を仰いだカン兄はああ、とだけ言い私の隣にこてん、と横に並んだ。

「空ってこんなに綺麗になるなんて知らなかった」
「俺も」
「ねぇ、もう少しだけここに居てもいい?」
「少し、な」

空からカン兄へ視線を向けるとその頬は薄紅色に染まっていた。




(もう兄妹だとかそんなの関係なしに只ただ貴方が愛しい)



100630:)Title あの子とくちづけ、

なんだこれは!!(笑)某相互サイト様の所であまりにもきゅんとくるカンクロウイラストを見つけたので思わず書いてしまいました(笑)こんな意味不文いらないと思いますが捧げます。←(え
誤字脱字ありましたら教えてください。