ついてない日はとことんついてないとよく耳にしたことがあるが、それは本当に当たると思う。事実、今日の私はとことんついてなかった。朝目を覚ましてベッドを降りた途端に昨夜そのまま置いておいた読みかけの分厚い本に躓き、それは綺麗に頭から床に突っ込み見るからに大胆に転んだし、着替え終わり部屋から出ようと方向転換をしたらタンスの角に足の小指はぶつけるし、朝食は嫌いな納豆だったり、とにかくついてない。転ぶことなんて何年ぶりだろうか、

「お前それでも忍かよ、うん」
「仕方ないじゃない寝ぼけてたんだから」

だけど転ぶなんてな、とけらけらと笑うデイダラに今さっき起こったばかりの不幸談を話した事を少し後悔した。なによ、そんなに笑わなくてもいいじゃない。まあそんな日もあるさ、と言い残しデイダラはふらりと座っていたソファーから立ち上がりたぶん自室であろう何処かへと去ってしまった。

「あー今日を生きるのが怖いよほんと」

幸いな事に今日は任務が無くとりあえず命の心配は無い。気をつけていれば大丈夫だろう、眠気も覚めたし。そんな考えで気を紛らわしたが現実はそう甘くなかった。


どしん。ああ、やってしまった。その後暫くは何事も無く充実した休日を送っていたがやっぱり今日はついてない。

「いってえ、」
「あ、え、さ…サソリさん…」

今日は命の心配は無い、と先程まで考えていたが前言撤回だ。なぜならあのサソリさんに見事に衝突してしまったのだから。原因は部屋に行こうとして歩くと同時に躓いた。(何も無いのにね)ごめんなさいと言おうにもサソリさんの冷めたい視線に言葉が吃る。私は余りサソリさんが好きではない、そしてまず接点が無い。だから話す訳もなくそれにあのいつも冷たい眼差しが自分を否定しているかのように見え、どうも好きになれそうにない。前にデイダラからもいろいろとサソリさんの恐怖談を聞いているのでむしろ恐ろしい存在だった。

「…ご、ごめんなさい」
「お前…」

ああ皆さようなら。私は今日でどうやら最後みたいです、今までお世話になりました。前を見ると今にも殺されそうな殺気が出ています見えます。神様どうして私はここまでついてないんですか、昨日イタチの団子を盗み食いしたのもデイダラの粘土潰したのも謝りますので助けてください。

「…お前って馬鹿だろ」

…え。思考が止まった。恐怖で閉じていた瞼を開くとサソリさんは苦笑していた。あれ、私助かった?

「……怒ら、ないんですか…?」
「はあ、なんでこれくらいで怒らなきゃなんねぇんだよ」

そこまで短気じゃねぇ、とサソリさんは溜息をこぼした。…そ、そうですか。私はほっとして涙が出そうになり少し視界が滲んだ。

「お前オレがキレるとでも思ったのか」
「え、はい…」
「そうか」
「以前話した事も無いしデイダラからいろいろ聞いたので…」
「くだらねぇ」

サソリさんは怒るどころかくつくつと笑い始め私は唖然とした。これがサソリさんですか。想像していたものと全く異なりすぎていてひどく申し訳ない気持ちで溢れた。

「すみません」
「ああ、それよりお前転んだのか?」
「あ、はは何もない所なんですがね」
「だっせ」
「今日はついてないんですよ!」
「あっそ、とりあえずお前は馬鹿なんだな」

まあ気をつけろよ、と嘲笑するつい先程まであんなにも恐ろしい存在だったサソリさんに不覚にもときめいている自分が居た。




神様ありがとう。今日は貴方の笑顔が見えた、幸せな日でした。


100827 Title:)たとえば僕が

いつもありがとうの気持ちを込めて大好きな紫優に送ります!!なんだかとてつもなくぐちゃぐちゃで意味不明文ですが(しかも長い)、書いていて物凄く楽しかったですwこんなのしかあげられないけれどいつも本当にありがとう\(^0^)/
誤字脱字ありましたらご一報ください