あの人に出会ったのはいつだっけ?確か、あの日は綺麗な青空が広がっていた。



暑い、あつい。今年は例年よりもかなりの猛暑となり日射病患者を増やした8月もそろそろ終わりを迎え季節が秋に移り変わろうとする頃、もう残暑だと言うのになんなんだこの暑さ。毎年の事だが暑さは今だに一向に収まろうとしない。日焼けしそうだ、日焼け止めを求めガサガサと鞄の中を手探りで掻き回すが見つからない、家に忘れてきたようだ。

「お母さんお腹すいたー」

私が今歩いている所は自宅から少し離れた住宅街で近くの家の中から子供と母親の声やテレビのナレーターの声が聞こえる。会話からして丁度昼頃か。そりゃ暑いわな、と呟き随分歩いたな、なんてぼんやりと思った。私は散歩が好きでよくこの住宅街を訪れる。ここののんびりとした雰囲気や住宅街なのに人通りが少ない所とかがすごく気に入っていた。

「今日も長閑かだなー」

ふと見上げた空には透き通る青に真っ白な入道雲が浮かんでいた。

──カツン。そろそろ帰ろうかとしばらく空を仰ぎながら歩いていると何かが足にぶつかり思わず蹴ってしまった。カラカラと道上を数メートル滑り停止する。なんだこれ、不思議に思いそれを手に取り見てみるとそれは携帯電話だった。軽く、硬い無機質なそれは手にすっぽりと収まる。外見は赤い色をし、まだ特に目立つ傷は無い。幸い大きな損傷は見られず私は安堵した。

「どうしよう、これ」

思わず拾ったものの、持ち主を探すのも大変だし、このままここに置いておくのも心地悪い。やはりこれは落とし物として交番に持っていくべきなのか、でも私近くの交番分からないよ!とりあえず誰かに交番への道を聞こうと立ち上がった途端に大音量の音楽と激しいバイブ音が鳴り響いた。

「うわ!びっくりした」

嫌な予感がする。恐る恐る携帯電話のディスプレイを覗く、ああ予感的中だ。どうすればいいんだこの場合、思わず一人苦笑するが早く決めなければ。この掛かってきた電話はいずれ切れてしまうのだから。たぶん相手はこの携帯電話の持ち主だろう、私は出てもいいのだろうか。どうしようどうしよう!…決めた、後3秒後に電話に出る!…3、2、1、

「…も、もしもし…」
「……お前誰だ」


…とんでもない物を拾ってしまった



100826


なんだこれ!かなりぐちゃぐちゃスタート。が、頑張ります!途中修正ありましたらすみません