「どうした」
後ろから掛けられた声に思わず振り向くと、仮面を外したジューダスが立っていた。
その姿がどこか眩しく思えて、私は目を細める。少しだけ、彼が透けて見えたような気がした。逆光だからだろうか。
「ううん、なんでもないの」
私の言葉にそうか、とだけ返して彼は私の向かい側に座った。そのまま彼は木に寄りかかる。昼寝でもするつもりなのか。
二人の間を心地よい風が通り抜けていく。まるで別れを告げるかのように。
「あのね、」
ああ、という優しい返事に私は目を閉じた。涙が、静かに頬を伝う。
「空がきれいだなあって」