夢を見ていた。目の前にすごく素敵で美形な王子様が居る。キスしてもいいかな、なんて甘い声で囁いた王子様は私の頬に手を添える。そのまま近付いてきた唇に私は目を閉じる。
「早く起きて。五分で支度しろ」
「………はい?」
睡魔のせいで閉じたがる目を擦る。呼びかけられた声に嫌々体を起こすと氷のように冷たい言葉が降ってきた。え、いまこの人なんて言った。起きてまだ数秒しか経っておらずうまく働かない脳に呼びかける。瞬きを繰り返して彼の方を見れば呆れたと言わんばかりに肩を竦める。少しわざとらしい。
「聞いてなかった?三分で支度しろって言ってるんだけど」
「二分短くなってない!?」
「聞いてたなら返事してくれないかな。急いでるんだ」
わかるだろ。じろりと睨まれて仕方なく私は頷く。仕方なく布団から起き上がると、それを確認したコンウェイが仕方なさそうに部屋から出て行く。こういうところを見ると、一応女子扱いはされているようだ。
「五分っつったって…」
無理に決まっている。もう既に諦めたわたしは呑気に服を選び始める。三分ほど経ったころ、扉がバシバシ叩かれた。まだ?なんて声が飛んでくるけれど、無視。女子の支度には時間がかか「置いてくからね」
「待って!!!一分で終わらせるからあと一分だけ待って!!!!!!」
叫んだ私は全ての動作を三倍速にする。やばいやばいやばいやばい。コンウェイは嘘つきだし冗談ばかり言う性格のねじくれた最低なやつだけど、こういう時に言ったことは必ず本当にやる。有言実行型嘘つきなのだ。なんて面倒臭い。なんだかんだ待ってくれない。
「あと30秒」
刻々と迫るタイムリミットに私の焦りも三倍速。とにかく急がなければ。





「まあ、15秒オーバーくらいなら見逃してあげるよ」
「………どう、も…っ」


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このあと続けてshortに上げるつもりだったのに途端に続きが思いつかず面倒になったのでこちらに…。コンウェイはなんだかんだ待ってくれる系男子だと思いますけどね笑
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