七尾 莱様より*ジギタリスの愛を暴かせて6*
無意識に疾風の腰が逃げをうつ。
しかしその両足はこちらで固定しているものだから、そんな些細な逃亡は失敗に終わる。
快楽を反らす術も無く、与えられるまま全てを脳内に流し込まれて、疾風の体がビクビクと跳ねるのが分かった。
「やめっ……あっ、あぁ、ぅあ……」
「は、すげー良い声」
「ちがっ、違ぁ…はっ……うあぁ……」
「ん? 何が違うんだ。気持ちいいんだろ?」
問いかけに、疾風はブンブンとまるで小さな子供が駄々をこねるように首を横へと振る。きっと他人から触られるのは初めてで、強すぎる快楽を素直に受け入れきれないのだろう。
そんな疾風をあやすようにその頭に唇を落とした。幼い頃によくやっていた行為を、なぞるように繰り返してやれば、疾風は呻くような声を上げて、それから覚悟を決めるようにぎゅっと目を閉じた。
「ん、…う……ぁっ! …ぁあ…ぅ」
「疾風、目、とじんな。ちゃんと見ろって」
だけれど、目を閉じて見ないふり、なんてのは許せないな。
瞼を空いていた左の指で撫でて微笑む。快楽で赤く染まった疾風の顔をうっとりと見つめながら、熱心にその中心を握る手を動かした。
「あっ、……はぁ…っ、っ……」
弱い所を同時に触られ、時折戯れに内股や脇腹をくすぐられ。疾風はたまらないと言うように顔を快楽に歪めて、開いた唇をわなわなと震わせた。
俺の手で感じている疾風がただただ愛おしかった。もっともっと、気持ちよくなって欲しくて、乳首を弄り、疾風のモノを先ほどまでとは比べ物にならないぐらいに激しく上下に扱く。そうすれば、目の前にある内股が痙攣するかのように震えて、疾風の顎が耐えられないとばかりに天井を仰いだ。
「あっ…あぁっ……っ!!」
抑えきれない声。一際大きなその声が喉を震わせたと同時に、疾風は達していた。手のひらに熱い飛沫がかかって、それを広げてみると白くて粘り気のある液体が手首を伝う。
「お、いっぱい出たな。ほら、すげー濃い。もしかして最近抜いてなかったのか?」
「……うっせ」
手のひらに纏わり付いた白濁の液を疾風のまえに見せつけながらそう言えば、自分が出したものを見せられる羞恥に耐えきれなかったようで、疾風はそっぽを向いた。グッタリとベッドに沈む体からはやり切ったという達成感が滲んでいて、思わず「おい」と声を掛けた。
「お前まさか自分だけイッておしまいとか思ってねーだろうな?」
「え?」
ほら、と言って、ゴリ、と疾風の太腿にわざとらしく自身の股間を押し付ける。
「あ?」
「あんだけお前のエロい姿見てたんだから当然だろうが」
疾風は目を丸くした。何で俺の息子が立っているのか分からないと言った表情に、丁寧な回答を返してやる。
中途半端に下げられたハーフパンツと下着を汚れないように完全に下げて、ベッドの端へと投げ捨てる。何か濡らすものは無いだろうかと辺りを見渡すもここは保健室だ。当然ながらローションなんて便利なものはおいていない。強いて言うならエタノールや消毒液ぐらいならあるが、あれらはケツに使っていいものではない。一体どうしたものかと考えて、そういえばとポケットを漁る。
そうして手のひらに当たった固いものに、思わずニヤリと笑みが出る。
「……なに気味の悪い笑み浮かべてんだ…って、なに取り出してんだ?」
「気味悪いって失礼だな。ただのリップだ」
唇の乾燥が酷いから持ち歩いていたものだ。どうしてここにきてリップが出てきたのか分からないというような疾風に対して、誤魔化すように笑いかけてやる。
そのまま疾風の足を拓いて、閉じないようにその間に自分の足を食い込ませる。そして強引に疾風の後孔に手を伸ばした。
固く締まっている孔に触れた瞬間、疾風の全身がビクリと揺れる。
「っ、ぁ…、おい、うそ、だろ……、ひっ!」
「そう怯えるな。痛くはしねぇから」
本来ならば、排出するだけのその場所。人に触られることはおろか、自分で触ることもない、それこそ未知の領域だろう。そんなところを他人に触られて怯えるなというほうが難しい。そんなことは分かっている。
だからこそ、そんな疾風を、安心させるように額にキスをひとつ、落としてみせた。
先ほどからの疾風の痴態に股間はすでに痛いぐらいに張りつめていて、爆発しそうだ。今すぐにでも疾風の中に突っ込みたいと思う気持ちだってもちろんある。それをただ欲望のままに突っ込むことは簡単だ。でも、それではダメなのだ。
快感を与えて、気持ちがいいとよがる疾風の顔が見たかった。我慢出来ずに漏らす甘い声が聞きたかった。
だからこそ、痛みを与えなくて済むように、己の息子の訴えを無視して、リップクリームを出せるところまで引き出すと、三分の一ぐらいだけを折って、その先端を固く閉じるその蕾に押し付けた。
そこで何をされるか理解が追いついたのだろう、疾風は信じられないものでも見るようにこちらを見上げた。本当ならローションとかが一番なんだろうがないものはないんだから仕方がないだろう。
リップクリームの先を問答無用で中に押し入れる。そうすれば体内の熱でジンワリと固形を保っていたリップが溶け始めて、中を濡らしていった。指を中に入れて、リップの溶け具合を確かめるように動かしていく。
リップが完全に溶けた頃には指はスムーズに出入り出来るようになり、念入りにほぐす様に指を使って小さなその蕾を開いていく。
だが決して無理はしない。少しずつ丁寧に。
滑りが足りなくなってくればリップを継ぎ足して、徐々に弛んでくるのを見計らい、戯れに指を突き入れては、またすぐに抜く動作を繰り返す。
「ん、ぐっ…、は……、あっ、ぁ、ぃ…っ! ……っん!」
たっぷりと塗り込まれたリップが指の動きを助けてくれているから、痛みはそれほどないはずだ。
だが今まで感じた事が無い異物感と圧迫感のせいで、疾風の眉間に皺が寄る。
「苦しいか? もうちょい、我慢、な」
一度指を引き抜いて、今度は指をニ本に増やして中に突き入れた
そうして今までの擦り、押すような動作から一転して、確実に中を押し広げる動きに変える。
「っ……ぁ……ぐ、…っ、ぅん、……」
一本の時よりも一層に感じる圧迫感に、疾風の喉からはか細い声が上がった。
その苦しげな声を吸い取るように唇を近づける。そうして、無防備に開いたその隙間に舌を差し込めば、ぴちゃりと触れあう舌の熱さに、思わずのぼせそうになってしまう。
少しだけ唇を離し、溢れた唾液を追いかけるように舌で辿り、また強く唇をあわせた。
「はぁ……ふっ、んぅ……」
合間に合間に漏れる疾風の声に甘さが混じる。目の前にある体から力が抜けていくのが分かった。
その瞬間を狙って、中に差し込んでいた指を根元まで一気に押し入れて、更に深い奥を目指す。びくりと疾風の太腿が大袈裟に跳ね上がった。
いったん指を深く突き入れ、何かを探る様にそろそろと出口へ戻っていく。
くにくにと蠢かせながら這い戻る指が、ついには目的のモノを捉えた。
「うあっ! …ぁっ、……んんっ!」
触れた瞬間、疾風の身体がガクリと震え、勢いで解かれたキスで自由になった口から、声が迸る。
「お? ……みつけた。ここだな、ちょっと硬くなってる」
「なっ、……そこ、なんでっ……ふぁ、やっ…あっ……」
指の腹にあたる肉の芽をコリコリと転がして笑みを浮かべる。
すると腕の中にある疾風の身体は弓なりに反らされ、陸に打ち上げられた魚のようにビクビクと跳ねあがった。
疾風は声を殺す事さえ忘れたようで、ただ強過ぎる刺激に、身を強張らせ目をぎゅっと瞑る。
「そ、それっ…だめ、やめろっ……やぁ……」
「はっ、疾風。すごいぞ、今のお前。めちゃくちゃエロい」
強弱をつけて捏ねながら、素直に反応して再び立ち上がった疾風の中心を見つめて思わずニヤリと笑う。
「触ってもいないのにビンビンだ。感度良いのなお前って」
「……ぅんっ!」
羞恥を煽るようにそういえば、途端に秘所がきゅうと締まり指を締め付ける。
それにまた笑みを深め、しこりを転がす様に撫でた。
「あぁぁっ……だっ、…うあっ、あっ……」
元々が感じやすい体質なのか指を動かす度に、疾風の身体はガクガクと揺れるものだから、それを腕全体を使ってガシリと抱きとめた。
せわしない呼吸を繰り返しながら、疾風が俺の胸板に縋る様に額をグリグリと押し付ける様が、どうしようもなく、愛おしい。
「ぁっ…んん……くっ…」
「疾風」
「……ふっ、みずきっ……も、やめっ……ゆび、とめっ……んぅっ!」
「駄目だ。ちゃんと慣らしとかないと後が辛いだろ?」
縋るように懇願されるも、首を縦に振ることはしない。
唇を落として、疾風の首筋に触れた。そこを強く吸えば、紅い華が健康的な肌に咲いた。
時折、戯れに耳たぶに噛み付けば、短い悲鳴が上がる。
長く思い続けた姿態を腕の中に閉じ込め、笑みが零れるのは仕方がない。
しかし微かな笑い声は、疾風の嬌声に掻き消されて、彼の耳に届くことはなかった。
「ひぅっ……っ…あ、ぁぁ…も、あっ!」
しつこく責められ続け、疾風の前からトロトロと蜜が溢れ始めた。
とろりと竿を滴る粘液に、無意識に舌で唇を舐めあげる。
指の動きを緩めれば、疾風がうっすらと瞳を開けた。
はぁはぁと、せわしない息を吐き出しながら、こちらを伺っている。
その宝石のように真っ黒な瞳は激しい快楽を与えられ続けている為にうっすらと潤み、どこかぼんやりとした視線を投げかけてくるばかり。
その目を見つめながら、指を殊更ゆっくりとしこりの上で往復した。
「んくっ……」
蕩ける感覚に、疾風は閉じない口から詰まった様な声を漏らした。
大きな波をなんとかやり過ごし安堵する間も無く、乳首を弄られ、また身体が跳ねる。
同時に下肢からダイレクトな刺激が這い上がり、疾風の堪えるはずだった声が迸る。
「あっ……あぁっ……みず、きっ……はぁっ、っつ……んっ………あ、あ…!」
イきそうだ。そう思った瞬間、指の動きを止める。あ、と切なげな声がその口から零れ落ちたかと思うと、疾風はなんで、と問いかけるような目で俺の方を見た。
「はっ、……みずき?」
「そんな切ない目で見るんじゃない。すぐにやる。…、正直、もうオレのほうが限界だ」
「うっ、はぁ……なに…? …、」
「いちいち言われなくたって、ここまでくれば分かるだろう?」
スッカリと慣らされた後孔から指を引き抜き、両手で疾風の膝裏を掴み大きく開かせる。
すでにこっちの息子は先程からの疾風の媚態に反応し、硬く張り詰めていた。
はやる気持ちに、思わず荒くなる息をグッと堪え、苦笑を漏らす。
前立腺からの強い刺激が無くなると共に、少しだけ理性が戻った疾風は、自分が取らされている格好に、まさかという思いで目を見開いた。
が、すでに気付いた時には、常には感じた事の無い感触が尻の奥に触れる。
身じろぐ事さえも出来ない身体に、ずずっと容赦なく自身を突き入れた。
「み、ずき! っ、…それ、んなの、む…っ、う、あぁぁぁぁ!」
慣らされたとは言え、指とは比較出来ない程に太くて硬いモノが押し入るという初めての感覚に、疾風は声を張り上げた。
浅い呼吸を繰り返し、身体は苦しさに強張り細かく震えている。
「っ、く、!」
そんな疾風の身体を宥める様に身体を擦り、耳元で囁いた。
「は、疾風、息を吐け。身体の力を抜いて」
「っ、む、りっ……無理だ!」
半分ほど進んだ所で、動きを止める。
中の狭さに締め付けられ、思わず目を眇めた。