熱を帯びた銀灰色の瞳がうるうるとなまえを見つめた。
すっ、と伸びた白い手袋がなまえの手を取る。
そして薄い唇が動いた。
その拍子に白くて形のいい歯がちらりと見えた。

「ずっとわたくしのお傍に居て下さりますか?」
「ええ、もちろんですよ」

そういうとノボリは何だか切ないような、憎いような表情を見せた。
ぎゅっ、となまえの手を握るノボリの力が強まった。

「ならば約束して下さいまし。その指に他の男の指輪を付けないと、」

(なんだそんな事…)

勿論です、と微笑む。ノボリの手袋に包まれた白い指がなまえの薬指に絡み付いた。

「指切りして下さい、なまえ様」
「はい、ノボリさん」

小指を絡ませるかと、思いきやノボリはなまえの薬指をぎゅっと掴んだ。
「え?」と小さく息を漏らすとノボリの右手にはギラギラと輝く鋏が握られていて今から何をされるのか分かってしまった。

「ノボリさん」
「指、切りしましょうよ」

鋏がなまえの左手の薬指に近づいた。
なまえは目を閉じるとこれからくる痛みに耐える準備をした。

「(ノ、ボリさん)」
「愛しておりますなまえ様」


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