※バキ→タツぽい
 以前某所であげた短文を展開させた感じ


痛いほどわかってる。
実際胸が痛いから、大袈裟じゃないのかもしれない。
あの人の顔を今日も見る。
かっこよくて、凄くてーー彼は、それでいてどうしようもなく可愛いんだ。

かつて日本を震わせた選手だし、顔つきとかもそうだけど、何かを真剣に考える姿がかっこいい。
俺たちへの指示は、時々訳の分からないこともあるけど、それは後々しっかりと実を結ぶから凄い。
そして屈託のない、あの笑顔。
ほんとうに達海さんは魅力的な人間だと思う。

でも達海さんをかっこいいって思ってる人は山ほどいるし、凄いと思ってる人だってごまんといる。その笑顔だってーー俺にだけむけられているものじゃない。

昼間の練習が終わった後、陽が落ちて暗くなったグラウンド。この時だけ、俺が達海さんを独り占めできるんだ。
アドバイスをくれることもあれば、どうでもいい話をすることもある。大抵俺は受け答えに精一杯なんだけど、色々なことを考える。監督じゃなくて達海さんって呼びたいなとか、ずっとこの時間が続けばいいのにとか。もう俺も子供じゃないんだから、そんなこと考えてられないんだけど。

「椿、」

つい考え込んで黙ってしまった。変だと思われたかな、と慌てて口を開こうとしたら、頭をぐしゃぐしゃとなで回された。

「た、監督っ」
「達海でいーよ、二人のときとか」

え、と言う間もなく、今度は少しやさしめにぐしゃぐしゃされる。

「おまえはまだ子供だな、まぁそれでいーんじゃない?」

俺からしたら全然子供だし、と達海さんはにやにや笑った。
ああ、今俺だけに向けられてる表情。
今俺だけに投げられてる言葉。

そうやって貴方は、俺の感情を突き動かすんだ。
わかっててやってますか?

そんなことするから、そんなこと言うから。
今日も俺は痛みに飲まれていくんです。


今日も明日も痛みはつのる。
達海監督は、みんなの監督なんだから。
痛いほどわかって、ます。




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我慢の子椿くん
わんことヤンデレは紙一重だと思ってます
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