(初代拍手文)


何をするでもなく時を過ごす。ふと、カイジさんの手が目に入った。
ごつごつしていて少し固い皮膚、骨張っていて太すぎない指。縫い目の傷やそれ以外の傷。なにより、広くて大きいその手は温かいということを俺は知っている。

別段手フェチだとかそういうわけではない。他人の手を見たところで、特別なにか用事や目的が無い限りは興味を持たない。
ただ、カイジさんの手は好きだ。その手は俺自身すら触れられない最奥に触れる手でもあるのだが…それ以上に、抱き締められた際に背中や腰に当てられる大きな掌。また、キスをするときに頬や頭に添えられる大きな掌。歩くときに手を包み込んで引いていく大きな掌が、俺はたまらなく好きなのだ。
どうしてなのだろう。
す、とカイジさんの手の甲に俺の掌を寄せる。

「ん、どうした?」
「…カイジさんの手。あったかいよね」
「そうか?オマエが冷たいだけだろう」

もう片方の自分の手を見つめた。確かに俺は平熱が低いし肌も白い。

「だとしてもさ、羨まし」
「俺はしげるの手、好きだぞ?」

重ねていた手をいつの間にか絡めとられ、指にキスをされる。

「白くて綺麗だし、指長いし、ひんやりしてるし。手が冷たい人って心が暖かいんだろ?」

──ほんと、この男には敵わない。
きっとカイジさんの手は冷たさなんて通り越してしまったんだ。

手と手を絡ませ、そのまま奥まで絡み合うまで、あとどれくらいだろうか?

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