これ以降、アカギがカイジのところに泊まりにくることが増えた。
アカギがふらりと訪ねてきて、カイジが宿泊を了承する。それだけの流れだったが、カイジにとってアカギの宿泊は急速に日常化していった。アカギの来訪はそう頻繁でもないが、カイジにとってはそれでもよかった。泊まりにくる──それ以前に、顔が見られるということ。カイジはそれだけでも安心なのだ。悪魔のような麻雀を打つ男にしては、存外放っておけない面が見えるというか、どこか儚いというか。カイジのところに来て煙草をくわえながらどこかを見つめる彼の眼は何かを抱えているようで。
しかしカイジは未だ、アカギの連絡先さえ訊けずにいた。

─────

その日は久しぶりの雨だった。
アカギと初めて会ったときの大雨には負けるが、まあまあ雨脚も強く、なにより今度は風が強い。カイジはビニール傘を温存し、びしょ濡れで帰るという選択をした。服は洗えば良いがビニール傘は買わなければならない。そもそも開いた瞬間に壊れでもしたら、どちらにしろ濡れてしまうのだ。この選択は間違ってはいないだろう。

強風に阻まれ、いつもより帰宅に時間がかかってしまった。

「うう…つめてっ」

アパートの階段を昇ると、部屋の前にびしょ濡れのアカギが座り込んでいた。

「…アカギ!!」
「ん、カイジさん。おかえりなさい」
「…おまえ、いつからいたんだよ…」
「…さあ。」

アカギの腕を引いて立たせ、部屋の鍵を開ける。アカギの肌は刺すように冷たく、既に冷えきっていることが嫌でも感じられた。見れば顔は普段よりいっそう白い。

「もう湯溜めながら入れよ、風邪引くから」
「カイジさんは?」
「俺は後でいいから!!待ってたおまえの方が冷えてんだろ」

アカギを脱衣場へ追いやり、適当なタオルと着替えを投げておく。普段から血色がよくないアカギがあんなに冷えきっているのは大変なことである。カイジも冷えてはいるが、先ほどのアカギには及ばない。濡れた服を脱いで身体を拭き、毛布にくるまってアカギが風呂から出るのを待った。

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