服が乾かないことにはどうしようもないので、アカギはここに泊まることを余儀なくされた。カイジはもとよりそのつもりだったので特に問題はなかったが──しいて問題を挙げるなら寝具が足りないということだ。
なにせ金の無い男の独り暮らしである。余分な寝具などあるはずもない。アカギは毛布が一枚あればくるまって寝られるからいいと言ったが、カイジはそれをよしとしなかった。実を言うと毛布すら一枚しか無いのだ。何も被らずに寝れば寒いし、かと言って布団を被ると暑い。
カイジがぐるぐると考えていると、アカギは無表情のままさらりと言ってのけた。

「じゃあ一緒に寝ればいいじゃないですか」


──────

カイジは寝付けずにいた。
まさか。
まさかさっき知り合ったような男とこんなに至近距離で寝ることになるとはカイジは思ってもみなかった。アカギは嫌だとは思わないのだろうか。なんとも不思議な男である。

外を見ると雨は既に止んでいて、降っていた時よりは少し明るかった。
しかしこちらはそう簡単に晴れてはくれなかった。考えれば考える程わからない。考える度に答えから遠ざかる気がする程にわからない。カイジは眠っている白髪青年を眺めてみた。アカギは身動ぎもせず、死んだように眠っている。眠り姫のようだ、とカイジは思った。残念ながら姫では無いのだが。
先程からカイジは、頭の中の事柄をアカギ以外のことにぬりかえることができなかった。何を考えていてもいつの間にかアカギのことを考えてしまう。興味の対象として申し分ないことは確かなのだが、はたしてそれだけなのか。たかだか一晩泊めただけなのだ、そこまで深入りする必要は全くない。

カイジは思考を無理矢理止めて、睡眠の方向へと預けるのだった。

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