過去形ワルツ
逃亡者しか見つけられない星
物語だけで慰めて
スノーグローブの溺死体
彼女の「まあいっか」と玩具箱のダイヤモンド
ゼロにならない夜
爪先に心臓がほしい
たまにピアノのシの音が聞こえなくなる
ドレスとノイズ
リップクリームを塗った分だけ嘘をつく
だいすきが言い訳になった人の唇
ただ、大事にする才能がなかっただけ
無感動を売る
途中でやめられない哲学
薔薇の棘も果実の種も信じない
あるべきところにおさまらない美術館
誓言から燃えていく
まるまると太った恋
優しくしてくれないから独り占めしたくなる
いつまでしあわせぶっていればよいのでしょう
神様だって知らないダンスの導き方
夜めいた古び
気の利かない詩
彼らの「あいしてる」が暗黙のことがらだったとしたら
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爪先に心臓がほしい
2015.12.27