雷門+ルーン夫婦


*黄名子の告白後

「…フェイはもう、きっと大丈夫やんね」
「…あぁ」

そう話す二人の表情は穏やかだった。

「あのー、えっと…黄名子…さん?」

そんななか、天馬が気まずそうにそう切り出すと黄名子はふは、っと笑った。

「なあに、キャプテン。そんな改まって。」
「いや、だってその…」
「ふふっ…確かにフェイはうちの子供だし皆と同じ時代に生きる人間じゃないけど今のうちはキャプテンと同じただの中学1年生やんね!!」
「そっか…うん、そうだよね!」
「それよりも…ごめんなさい!!」
「えっ?」

さっきの表情とは一転、急に黄名子は頭を下げた。

「え、何、どしたの?」
「…フェイを守る為とは言え、皆を騙してたのは事実やんね。だから…ごめんなさい。」
「そんな事…」
「私からもすまなかった。特に天馬くんや神童くん達は混乱しただろう」
「え…神童達は知っていたのか?」

アスレイの言葉に霧野が驚きの声をあげた。

「あぁ…といっても菜花はインタラプトによって生み出されたらしい、という程度だったがな」
「そうだったのか…」

だからあの時天馬達の態度が変だったのか、と皆頷いていた。

「だーっ!!小難しい話は後にしようぜ!!そんな事よりもホラ!!フェイはちゃんと帰ってくんだろ!!だったらいっそのこと派手に迎えてやろーぜ!!」
「お!!それは面白そうじゃきに。なぁ天馬!!」
「はい!!」

いきなりの展開で頭がパンクしそうになったのか水鳥は吹っ切れてそう提案すると皆やろうやろうと乗り気になった。

「え…皆怒ってないの?」

すると今度は黄名子の方がおずおずと聞いた。
天馬は一瞬呆けた顔になったがすぐに笑って返した。

「なんで怒るのさ。黄名子が言ったんじゃないか。確かにビックリしたけど黄名子もフェイも俺達の仲間には変わらないだろ」

そう天馬が言うと他の皆も頷いた。

「皆…」
「よーしっ!!皆!!どうやってフェイを迎えるか考えましょう!!」
「「おーっ!!」」

言うが早いが、クラッカーはどうよ、いやどこで調達するんだよ、と皆の笑い声が響き渡った。

「…フェイは…いい仲間に出逢えたんだな」
「…うん」
「さて…黄名子。私にはまだやらなければならない事がある。またフェイの事を頼んでもいいか?」
「当たり前やんね!!うち、フェイのお母さんやんね!!」
「あぁ…そうだな」

アスレイは薄く微笑むと踵を返した。

「…っアスレイさん!!」
「ん?」
「うち、フェイもだけどアスレイさんの帰りも待ってるやんね!!だから…いってらっしゃい!!」

黄名子はそう叫ぶと大きく手を振った。

「!…あぁ、行ってくる」

黄名子の言葉に驚いたアスレイだったが泣きそうになりながら笑うと今度こそ踵を返した。
黄名子はそんなアスレイを見送った後、天馬達の所に混ざっていった。

ねぇフェイ、聞こえてる?皆あなたの事を待ってるやんね。
だから…早く帰ってきてね。

(あなたの居場所はここにあるのだから)

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