ウイスキーボンボン


*二人は付き合ってます。

「皆お疲れ様。これ糖分補給にどうぞ」
練習終了後に夏未は皆にあるものを渡した。
「なんだぁコレ?」
「ウイスキーボンボンよ。知り合いに沢山もらったの」
「美味しそうッス〜!!いただきま〜す!!」
一番食い意地のはってる壁山が早速口にした。
「…!?何スかコレ!?なんか喉がカーッとするッス!!」
「何だ、壁山知らないのか?これ少量だけどアルコールが入ってるんだぞ」
鬼道が1つ食べながら言った。
「ごめんなさい、口に合わなかった?」
夏未が慌てて壁山に水を渡した。
「な、なんだか大人な味ッス…」
「そうかぁ?普通にうまいけどなー。雷門、もうないのか?」
「え?えぇ、あるわよ」
壁山の様にあまり口に合わない人も何人かいたが綱海は気に入ったらしく夏未にお代わりをせがんていた。


「お前よく食うな〜」
新たに2、3個食べていた綱海を見て塔子が半分呆れた様子で言った。
「だって結構余ってるみてーだし。塔子食わないのか?うまいぞ?」
塔子がまだウイスキーボンボンを手にしているのを見て綱海は言った。
「いや〜あたしも食べた事なくてさ。ちょっと躊躇ってんだよね」
塔子が苦笑いを浮かべながら言った。
「だーいじょーぶだって!!いーから食ってみろよ!!」
「うーん…」
パクっ
意を決意した様に塔子はウイスキーボンボンを口に入れた。
「どうだ?上手いだろ?」
「美味しいけど…なんか…」
「ん?どーしたんだよ?…ってかお前…なんか顔赤くね?」
塔子の様子が少しいつもと違う気がしたので綱海は塔子と目線が合う様に少しかがんだ。
「おーい塔子ー?」
すると突然、
「ヘヘヘ…」
「お、おい…」
塔子は笑い出したかと思ったらいきなり綱海に抱き着いてきた。
「と、塔子ぉ!?」
あまりの出来事に綱海は大声を出してしまい、皆の注目を集めた。
「な、何だ!?何かあったのか!?」
「いや、なんか急に塔子が…」
綱海は説明しようとしたが皆は二人を見ると、
「「「イチャつくなら他でやれ」」」
と冷たい目線を送った。
「ちげーって!!…つーかホントどうしたんだよ?」
「エヘヘ…」
なお笑い続けている塔子を見て綱海はある事に気が付いた。
「お前…もしかして酔ってる?」
「酔ってなんかないよぉ〜」「酔ってんじゃねーか!!ウイスキーボンボン1つで酔うってどんだけ酒弱いんだよ…」
綱海が途方に暮れたように言った。
「塔子さんって笑い上戸なんですね…」
「綱海、お前彼氏なんだから責任持って面倒見てやれ」
「助けろよ!!」
「「「面白いからやだ」」」
「お前らなぁ「つなみ〜ちゅーしよ!ちゅー!!」…はい!?」
塔子が爆弾発言をし、周りの皆はますます二人に注目した。
「なんだよ〜いやなのか?」
「いや、嫌って言うか…」
塔子はいつもはこういう事は恥ずかしがってあまりさせてくれないため綱海は戸惑ってしまった。
(ここはするべきなのか!?いやでも皆見てるし…でもこんなチャンスめったにないし…)
「つなみぃ〜?」
綱海は色々と悶々と考えていたが塔子のほのかに赤く染まった頬、少し潤んだ目、そしてめったにない塔子からのお誘いに綱海の理性はプッツンと切れた。
「塔子…」
綱海は塔子の頬に手をそえ、外野からの感嘆も耳に入らないかの様にいよいよ顔を近付け…

コテンッ
「へっ?」
急に塔子はあと3センチという所で綱海の肩に寄りかかってしまったのだ。
「お、おい…まさか塔子…」
「くぅ…くぅ…」
案の定塔子は気持ちよさそうに寝てしまっていた。
「マジかよ…」
綱海は寄りかかる塔子を抱きしめ塔子の首筋に顔をうずめながらも心底落胆していた。
「綱海…」
ポンッと鬼道が綱海の肩に手を置いた。
「なんだよ…」
「「「ドンマイ」」」
「うっせー!!ほっとけ!!」
いつもはおおらかな綱海もこの時ばかりは皆に対して吠えていた。


「つな…み……すき…」
そんな周りの様子など知らない塔子は幸せそうな顔で綱海が聞いたらまたもや理性と戦うことになるだろう寝言を言っていた。
残念なことに落ち込んでいた綱海の耳には届かなかったが。

「俺のトキメキを返せー!!」

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