女の子ごっこ


シュテルンビルトに来てヒーローの皆以外に初めての友達が出来たんだ。
ヒーローの皆とも友達だけど、やっぱりライバルで。
仕事も忙しいので正直友達の事とかどこか諦めてたんだけど
偶然僕が街を散歩してたら○○が男の子達に無理なナンパをされているのを見て助けた事がきっかけだった。
それ以来○○と僕は友達になった。
○○には僕がNEXTでヒーローとは言ってないけど彼女は何も聞かず
2人で遊んでいる時も急に呼び出される僕に
拗ねる事も怒る事もなくただ「気をつけてね」と笑って見送ってくれる優しい彼女が大好きだった。
○○は僕より少しだけ年上でブルーローズが通う学校と同じ生徒だった。
さりげにブルーローズ・・カリーナの事を聞いてみてもあの子美人だよね、と
にこにこ笑って話していたが特に知りあいという訳ではなさそうだった。
その事に少しだけ安心する。
べ、別に○○がブルーローズと友達だったら嫌だなとかそんなんじゃないんだよ!
ただなんとなく、僕が知らない○○の学校での姿を見れるのが羨ましいなと思っただけで。
そんな事考えてる自分が一番不思議だった。
この気持ちが何なのかその事を遠まわしにワイルドタイガーに聞いてみたら
「恋だな。いやーお前もとうとう春がやってきたか!おっしゃおじさん応援するぞ!」
と髪を撫でられていると「人の恋路に手を出すと馬に蹴られますよ、虎徹さん」と
バ―ナビーが入ってきてしばらく3人でわいわい話していたが
「僕も応援してます、がんばってください」
と以前では考えられない笑みで応援してくれたので、
僕がんばるよ!と答えるとなぜか今度は2人に頭を撫でられた。


今日は○○の家にお呼ばれして遊びに来ている。
○○は一人ッ子らしく僕の事を妹みたい、と凄く可愛がってくれて嬉しい。
だけど僕は妹よりも、もっと深い関係になりたいな、と思っているがまだ口にはしない。
今日は見てほしいものがあるの、と
○○は嬉しそうに色々な服を出してきて「着て見せてほしいな」と白いワンピースを差し出してきた。
「う・・。」
高原に似あいそうな可愛い白のワンピース。
「私が去年着てた奴なんだけどね、もう私には着れなくって・・。
でもすごくお気に入りで捨てる前に、パオリンが着てる所見たいなって・・・」
最近男の子っぽすぎるかな、て気にしてるみたいだし、良い機会かなぁって・・
とぎゅ、とワンピースを差し出し、家の中だけで良いから着て見ない?と差し出してきた。
「でも恥ずかしいよ・・」
ともじもじすると
「私がお化粧してあげるから!ね、お願い。パオリンの可愛い姿、見たいな・・」
好きな人のおねだりってなんでこんなに可愛いんだろうか。
恥ずかしい、という思いよりも、叶えてあげたい、という思いのほうが強くなる。
「い・・・家の中で・・・○○だけが見るなら・・・」
と答えると「うん!」と嬉しそうな笑みを浮かべ
「絶対可愛いと思う!」と好きな人に言われて嬉しくならない人はいないと思った。



着なれないスースーした感触に落ちつかない。
案外開いている胸元が恥ずかしい。
鏡を見ても似あっているのか、いないのかもよく解らない。
ただくるくると鏡の前を回って見せる。そのたびに揺れるスカートの裾が新鮮だ。
「パオリン、良い?」
着替える間律儀に出て行ってくれた○○がドア越しに声を掛ける。
凄くドキドキしながらもう一度鏡をチェックし
「い、いいよ!」と声を掛ける。
笑われたらどうしよう、と不安にかられながら待っていると
ドアを開けた○○はぱぁ、と顔を輝かせ
「すっごく可愛いよ!」と嬉しそうな笑みを浮かべ駆け寄ってきた。
「可愛い、パオリン凄く可愛い!似あうよ・・!」
と凄く嬉しそうに笑い褒めてくれた。
全身でそう思ってくれてるのが伝わるくらいに可愛い、と褒めてくれて凄く嬉しかった。
「じゃあ、そこに座って。お化粧したらきっともっと可愛いよ!」
と椅子に座り鏡を前にする。
こんなにしげしげと鏡と向き合う事は普段ないので(雑誌取材は別として)落ちつかない。
「ど、どうしたらいいの?」
と真横に座る○○に尋ねると
「お姉さんにまかせなさーい!」と笑い、目瞑っててね。
と言われ素直に目を瞑った。


顔のすぐ傍に○○の気配と良い香りを感じ、ドキドキする。
顔に触れてくる指先が少し冷たいけれど、○○の指だと思うと心地いい。
初めは緊張していたが時折肌つやつやだ、とかまつ毛長いね、と
いう言葉以外静かな時間が流れ気がつけばリラックスして○○に身を任せていた。
「出来たよ、パオリン。目開けてみて」
と言われドキドキしながら目を開ける。
「・・・・え、これ本当に僕?」
「そうだよ!やっぱりもっと可愛くなった!すごく可愛いよ、パオリン!」
人にお化粧するの初めてで緊張したけどと笑っているがどこか誇らしげな姿が
逆に可愛くて○○のが可愛いよ、と心の中で呟く。
鏡の中の僕は、普段より少しだけ大人っぽく見える。
初めて見る自分の顔に驚きでぽかんと見ていると同じ鏡にひょいと○○が写り
「うん、可愛い!」
ともう一度褒めてくれた。
恥ずかしいけど、○○が褒めてくれて、凄く嬉しかった。
立って見せてと立上り○○に見せる。
「うん、良いよ・・!可愛い・・・!」
と手放しでほめてくれて恥ずかしかったけど、写メ撮りたいという○○のために
きっとぎこちない笑みだったとは思うが笑って写真を撮ったりして過ごした。
一枚だけ僕の携帯にも撮って貰い保存した。後でタイガーに見せよう。
好きな人にやってもらったんだって自慢しよう。



それからは○○と逢うたびにあれやこれやと着せ替えのように遊んでいる。
今度街に僕の服を買いに行く約束をしたんだ。
僕はデートだと勝手に思っているけど、それはまだ内緒だ。
これから僕達はどうなるかはまだ解らないけどタイガー曰く
「恋はな、焦ったら負けだ。回りから埋めて行け。お前なら出来る」
と解るようなまだよく解らないような事を言われたけど、
焦らず好きになって貰えるようにがんばろう、と思った。



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