(こんなわたしを、人はきっと愚かな女
だと笑うのでしょうね)

(ええ、自分でも愚かだと分かっているわ)




マルコに出会うまでわたしは何をして、
何を考え、何を思い生きてきたのか、そ
れさえも思い出せないほどに今のわたし
にはマルコしか見えていないの

マルコの心音がわたしの鼓膜を震わし、
マルコの唇がわたしの名を呼びわたしの
唇をついばみ、マルコの瞳にわたしだけ
が映りわたしの瞳にマルコがだけが映り、
マルコの腕がわたしの腰を掴みわたしは
マルコの足に自分の足を絡ませる。




「マルコ、わたしはきっとあなたに会う
ために生まれてきたんだわ」


マルコの胸に顔を埋め呟くと頭上からは
くつくつと喉を鳴らす笑い声


「そんな物語の中の主人公が言うような
洒落た台詞、お前ぇには似合わねぇよい」


わたしは真剣に、まっすぐと思ったこと
を言っただけなのにマルコは馬鹿にして
笑うの


「本気よ、本気で言ってるの」


少しだけむくれてマルコを睨み付けたの
に、またマルコは可笑しそうに笑って、
そしてわたしを黙らせるようにまたキス
をした


「じゃあおれはキヨカをこうやって愛
するために生まれて来たんだよい」




もしも死ぬなら今がいい

「……そんな物語の中の王子様みたいな
台詞、マルコには似合わないわ。」

「キヨカ、耳まで真っ赤だよい」

背後からわたしを抱きしめてわざと低め
の声で、息を吹き掛けるようにわたしの
耳元で囁くマルコは、きっとサディスト
なのね。




くるり、再び寝返りを打ちマルコへと向
き直ると、目尻にシワのある優しい笑顔
と目があった。マルコの首へと腕を伸ば
し、ぎゅっと抱き着くとわたしの背中を
優しくさする大きい手に愛しさとか、優
しさとか、人間の素敵な感情全てが溢れ
出てくる気がして、嬉しすぎてどうしよ
うもなく泣けてくるの。

こんな感情を教えてくれたのも、全部全
部マルコなんだわ


20101223 title by3gramme.

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