「エースどいて重い…
てか、どけ。」

「…いやだ」


なんだその甘えた声は。
夜中、気持ち良く寝ていた
私の部屋に無断で侵入し私
に覆いかぶさるこの男は、
私の体を自分の腕でがっし
りと拘束すると、私の右首
筋に顔をうずめてピクリと
も動かない。


「なんなの?怖い夢でも見
たの?」

「…………。」


何も言わないところから察
するにどうやら図星らしい
。普段は白ひげ海賊団の2
番隊長としてしっかりと隊
をまとめオヤジやクルー達
からも絶大なる信頼を得て
いて、他の海賊や海軍から
は“火拳のエース”と恐れ
られているこの男は、たま
に私の前だけでこうなる時
がある。


「エースがこんな甘えたさ
んだなんて、他のクルーや
海軍の奴らにも一度見せて
やりたいよ」


どんな反応するんだろう、
と想像してみたらあまりに
も滑稽な情景が脳裏に浮か
んで、思わず吹いてしまい
そうになる。

エースがモゾっと動くとエ
ースのゆるいくせのある黒
髪が私の首筋をくすぐる。
こそばゆい。






「…キヨカが、消えちまう
夢見た、」


ぽつり、呟いたエースは相
変わらず私の首筋に顔をう
ずめたままで、その表情ま
では確認できなかった。


「…そう、」

「キヨカ、血まみれで倒れ
てて、おれが手伸ばしても
足掻いてもキヨカに全然触
れなくて、」

「うん、」

「そのうちキヨカの姿が消
えて、暗い空間におれ一人
になっちまった」


ぎゅう、と格段に強まった
私を抱きしめるエースの腕
の力。


「キヨカ、おれの傍からい
なくなるな。ずっとおれの
傍にいろ。」


馬鹿ね。
本当にエースは馬鹿で子供
で甘えたさん。


「私がいなくなったらエー
スは誰にこんな弱いとこ見
せるの?」


こんなとこ、こんな愛しい姿
私以外に見せたりなんかした
ら承知しない。


「私は死んでもエースから
離れないし、離れてやんな
い。」


エースの腕によって拘束さ
れているその隙間から腕を
伸ばし、エースの頭を優し
く撫でた。


「ずっと一緒、ずっとずっ
と傍にいる。だって私、す
っごくエースのこと愛して
るんだもん。」


ゆらゆらと不安定な目線を
向けたエースが、私に吸い
寄せられるようにひとつ、
キスをした。

くせのある黒髪が私の頬
を、鼻を、くすぐる。


「…おれも、すっげえ馬鹿
みてえにキヨカを愛してる」


恋などと馬鹿や阿呆がするものだ


それならば

エースが馬鹿で
あたしは阿呆ね
title by3gramme.

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