喉が渇くの。サーといると、
すごく喉が渇く。
乾ききった唇が、舌が、あた
しの口内の水分という水分を
を容赦なく奪いさってしまう
から

左手の代わりとなった金色の
金具は冷たくあたしの腰をが
っしりと押さえ付け、右手で
あたしの後頭部を乱暴に引っ
つかみ、髪をぐちゃぐちゃに
する。あたしの口の端からは
どちらのものか定かではない
唾液がだらし無く垂れ流れ、
お気に入りの服に染みを作る
そんな乱暴な口づけにさえ毎
回欲情してしまうあたしは、
どれだけマゾヒストなのかと
自分でも嘲笑してしまう。







乱れた髪をかき上げ、ベッド
から抜け出す。そしてサーの
葉巻をひとつ拝借、火をつけ
る。煙を吐く。すごくまずい

隣で目をつぶるサーは寝てい
るのか起きているのか、あた
しには区別がつかないが、い
つもきれいに整えてある艶の
ある黒髪がぱらぱらと乱れて
いる。無意識に手を伸ばし、
少し触れたところで手首を掴
まれた。なんだ、起きてたの



「人の葉巻を無断で拝借たあ
、いい度胸してやがる」

「そんなことで怒る程、サー
は子供じゃないからね」

「まァ、てめぇと違ってな」


強く容赦ない力で引かれた手
首、呆気なくサーの上に覆い
かぶさると頭を掴まれてまた
唇を奪われる。息が出来ない
し、また喉が渇くじゃない。
本当いやになる


「嫌いよ、サーなんてだい嫌
い」

そう言って落とした涙さえ、
サーはあたしの水分を全て、
全て奪い去ってしまう。


「てめェみてぇなガキに嫌わ
れたって構やしねぇよ」


金色の鋭い瞳で冷たく言い放
つサー。でも何で、そんな言
葉とは裏腹な、優しい仕草で
あたしの涙を拭うのよ。ねぇ
何で、どうしてよ。


その瞳でどれだけの女を落し
、その指先でどれだけの女を
引っ掻き回してきた?

過去もそしてこれからも、

そんなこと絶対に聞けないか
ら、あたしはただただサーの
上で涙をこぼしながらサーを
真似てまた葉巻をくわえるだ



マゾヒストの憂鬱

こんな醜い嫉妬心が、あたし
の心を自ら渇かしてゆくのだ
ああ、もう。
なにもかも消えてしまえ

20101109

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