殺して、よ


そう口にすると彼の長くて
きれいな指がそわりそわり
とあたしの首に絡む。徐々
に込められていく力、酸欠
になる脳、薄れゆく意識、
ローの顔

あたしがおちる寸前に緩む
首元、ローの指


このままあたしが息をしな
ければいいだけの話なのだ
けど、あたしの肺は酸素を
求めて機能を果たす。ゆら
ゆら、ローの部屋の窓から
見える三日月はまるであた
しをあざ笑うかの様に揺れ
ている。悔しい、今日も殺
してもらえなかった


「お前を殺したとして、」

深くクマのきざまれた目

「その後おれはどうやって
生きていけばいい?」

あたしの唇に重なる薄い唇
あたしの涙を拭うひんやり
とした手

「キヨカ…」

あたしを抱きしめる長い腕
、あたしのおでこに重なる
おでこ、微かに触れる鼻と
鼻、ひやりと冷たい頬、長
い睫毛、薄い耳たぶ、撫で
るとワシャと音を発てる固
い髪、少し日焼けした浅黒
い皮膚、細身なくせに厚い
胸板、むだな肉のないお腹
、少しでているおへそ(こ
れは誰にも内緒)すらりと
長い足、色っぽい低めの声
、動脈の少し浮き上がった
右首筋、全身へと巡る血、
トクントクンと命を刻む心
臓、


全部、全部全部全部全部全
部全部全部全部全部全部全
部全部全部全部全部全部全
部全部全部全部全部全部全
部全部全部全部全部全部全
部全部全部全部全部全部全


ローを作り出す全部
あいしているわ

愛する人に殺してほしい、


(そんな乙女心、そして究極の我が儘)
20090627

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