最近、多少気になることがある


「座敷わらし様、いつも美味しいご飯をありがとうございます」

カタリ


「夕霧、このおつけもの美味しいっ」

「そうか、ならもっとお食べ?」

「ありがとう、夕霧大好き」


もぐもぐと膝の上で旨そうに食べるりりの口に漬け物を運び優しく背中を撫でる
そして呑み込んだのを見計らってまた一口米を与える

新妻に飯を食わせるのは苦では無い。むしろ喜ぶ彼女を見てるのは楽しい。


だが

ほくほくと湯気が昇る彼女の飯に対してすっかり冷えた私の飯。これは彼女に食わせてるからでは無くて、はじめからだ


りりを妻にして数日。最近特に奴の贔屓が酷い
飯は如実にそれが出ている。同じ物であるのがまだ救いか
着物なんて、りりの着る物には香が焚かれていたこともあった


「夕霧も、食べて?」

ぷるぷると必死な様子で箸を使う様は愛らしい。今では彼女のことを醜いと思えなくなっていた

顔立ちは確かに醜いが、何をしても愛らしいと感じてしまう

何よりも先に思う感情はいとおしい、愛らしい。

「ありがとう。もっと食べさせておくれ?」

「はいっ!!でも夕霧のご飯冷めてるね………ごめんなさい」

カタカタ

しゅんと、落ち込んだ彼女の背を撫であやしながら抱き締め天井を睨む





お前の手抜きのせいでりりが落ち込んだぞ

カタカタ

知るか、りりを悲しませるならこの家つぶすぞ

カタタ

………とりあえず、彼女を悲しませるな




「ほれ、私の飯はもうよいから散歩でも行こうか?」

苦々しい気分でりりのこめかみにキスをして、立たせる
嬉しそうに笑った彼女はいそいそと上着を持ってきて私に着せてくれて




「今日はどこにいく?」

「お前の好きなとこで良いよ」

「やったぁ!!」



二人仲良く手をとり、外へ出る

座敷わらしは、りりを私と座敷わらしの妻の様なものと思ってるみたいだが
彼女に触れて良いのも、愛されるのも旦那である私だけの特権だ。


奴が無体なことをしでかすとは思わんが、それでも家でりりを一人にすることは絶対に無いようにしようと誓った






夫婦生活は、まだ始まったばかり。





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