特大の写真パネルの横を通りながら、地下への階段を降りる


行き止まりにある派手な装飾の扉を開けると



そこは、夢の世界


「「「ようこそ、いらっしゃいませ」」」


暗い室内に、たくさん置かれたりルームランプ
若い美青年が三人ほど私を出迎えて、私の荷物やコートを持とうとにこやかにエスコートしてくる


そんな彼らをサングラス越しに必死に笑顔を作り言い放つ


「店長と蜜流さんを呼んでください」













「これはこれは須磨お嬢様じゃありませんか。今日もまばゆいほどの美しさですにゃあ、ささ、VIP席へどーぞどーぞ。あ、蜜流にたっかいワイン持ってくるように伝えてくれや」

わずか五分ほどで、猫目の小柄な店長……ドラ猫は来た。まぁこんな店先で話せる内容でもないので差し出された手に自分の手をのせて付いていく


狭いけれど高そうなソファと、胡蝶蘭が飾ってある部屋につくなり
つい、はあああああっと堪えていたため息がもれた


そんな私を、ドラ猫は楽しそうににゃあにゃあと笑う


「すましちゃんにはホストクラブはまだ早いかにゃー?ワインよりオレンジジュースのが良かったかにゃ」

「………そんなものより、早く今月の出資簿とか書類を持ってきてください!!猫丸さんの所だけ未提出だから営業課の累計が出せないんです!!」

「そうだっけにゃぁ?ごめーんにゃあ?」


くりくりと大きな目で見つめられて、まぁまぁ落ち着いてとソファに座らされる
そして何故か隣に座るどら猫もとい猫丸さん


「許してにゃ?そんなことよりすまちゃん今日も可愛くて良い匂いがするにゃーあ」

「ちょ、やめ、て」


強引に手を握られて、肩のあたりに顔を擦り付けられ
さすがに嫌で身を引いてもさらに迫ってくる

そのときだった


「店長、ワインお持ちしました」

「み゛にゃ゛っ!!」

紺色のスーツに身をつつんだ、絶世の美青年………わかっていてもドキリとするほどの色気のある蜜流さんが現れ


ゴイイイイン、と猫丸さんの頭をワインのボトルで殴った


「すまちゃん、これ報告書と猫丸が横領した裏帳簿」

「え?あ、あの、猫丸さん平気ですか」

「大丈夫、猫だし踏んでも大丈夫。あと課長にさっさと本社に帰りたいって伝えといて」

「ごるあ゛゛!!大丈夫じゃにゃーし、それから今更俺から離れるにゃんて許さにゃーよ!!」


猫らしく、目の瞳孔を立てに開いて髪の毛をふわりと逆立てて猫丸さんが怒り出しても

蜜流さんの冷たいくらいに綺麗な美貌にはなんの変化も無い


それどころか、蜜流さんの肩くらいまでしか身長が無い猫丸さんは……ちょっと可愛かった


「わかってるのかにゃ!?蜜流の酒によわにゃい濡れ女としての体質と、桂男譲りのその美貌!!まさにぃホストとして完璧条件!!」


「……性別が女な時点で終わってるつーの」

「そんにゃ蜜流と、招き猫の俺が組めば利益は今までの三倍は軽く越えてる!!まさに商売繁盛じゅんぷーまんぱんにゃ!!みつる〜何が不満なんにゃぁ?給料なら本社の時のじゅーばいは払ってるにゃろ〜?」


じゅ、十倍!?いやでも蜜流さんナンバー1らしいしそれくらいなのかな……
それにしてもさっきまで怒っていた猫丸さんは今ではゴロゴロと喉をならしながら蜜流さんに甘えてる。なのに蜜流さんの表情は怖いくらい変わってない



「いい加減結婚適齢期だから、遊んでないで女として結婚相手を探したい」

「しかたにゃいにゃ〜、俺は可愛い子が好きにゃんだけど蜜流がそんにゃに結婚したいなら嫁にしてやるにゃ。だから働け。大丈夫、俺は愛が無くても金のためなら結婚出来るにゃ」

ぷ、プロポーズ…?
正直どうすればいいのかわからない。貰うものもらったし帰っても良いのかな……


「ま、課長によろしく。わざわざ足を運ばせて悪かったねすまちゃん」

「い、いえ、ありがとうございます」

「にゃ!?シカトかにゃみつる!?」

「入口まで送るよ」

無視するにゃああああああと叫ぶ猫丸さんを完全にシカトして蜜流さんは私を入口までつれてってくれた


ドラ猫の猫丸さんを上手く使いこなして、横領したお金をも回収する蜜流さん


お金にしか興味が無いとか言いながらも嬉しそうに猫丸さんは蜜流さんにじゃれついてるし


二人は、相性ばっちりなんじゃないか


ふと、そう思った






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