「いや叔父さん!!俺には護衛の仕事が、」
「だーいじょうぶだって、俺んとこの有望株着けたから。王子さんにも落としてこいって言われたしな、シーギルハイトー居るかー?」
「……リゼ様なら先ほど慌てて暗殺にゃんこ好き組合に行かれましたが」
「は?」
「あぁアレンの暗殺を依頼しに行ったのか」
「はぁっ!?」
「こりゃ早く行かねーとなぁ」
………──
「錯覚だ!!」
ガン!!と項垂れてテーブルを叩けば
にゃーにゃー怒らないでにゃーと四匹のにゃんこが擦り擦りと甘えて来て和んだ
相変わらずここは和みにゃんこ屋敷だよ
「おい、猫どもに気を使わせるな」
部屋の奥のソファにゆったりと腰かける友人の手には猫じゃらし。それにじゃれつく猫も三匹居る
むしろ部屋の中には他にも五匹の猫が思い思い気ままに過ごしていた
「と言うかうちに来たならちゃんと仕事の依頼をしろ。ここは暗殺ギルドへの仲介所だぞ」
「私の心の異常状態を殺して下さい」
「お前ごと殺すぞアホが。うちは悩み相談なんか受け付けてねぇぞ」
とか言いつつも、この友人はなんだかんだで聞いてくれるんだ
ぶっきらぼうな物言いと、暗殺者としての華々しい経歴とは引き換えに彼はとても優しい
わかりやすい例はこの猫たちだ
『こいつ等は俺の毒薬の実験台だ』
とか凶悪な笑顔で言いながら丁寧ににゃんこをブラッシングをしてるのを見たときには思わず吹き出した
徹底した管理のもと、捨てられているのを見るたびに拾ってきて
暗殺者組合の評判が落ちても可愛がっている
ちなみに毒薬の実験台にされているのも見たことがない
まぁ暗殺者たちも結構優しいから笑いながら猫を可愛がっているけれど
「とりあえず、あるターゲットを思い出しただけでドキドキしてターゲットがいなくなると思ったら胸が締め付けられるんだけどどうすれば良いかな」
「ほら、悪魔の蔦。これを飲ませりゃばっち「媚薬飲ませて何をさせる気だばか野郎」」
「犯しとけ」
「殺したい」
「お前にはまだ無理だ」
はん、と鼻でバカにされながら笑われるのは正直ムカつくが
こいつと私ではまだまだ毒草に関する知識の引き出しの数が違うから仕方がない
友人兼師匠が仏頂面でにゃんことじゃれるのを見ながらはぁ、とため息を着いた
『猫と友人と意味がない相談』
「まぁ、黙っていれば騙せるんじゃないのか。リゼは家柄も良いし将来も期待できるし体も顔もちゃんとすればそれなりだし」
「出会ったその日に怒鳴り飛ばしました」
「初恋終了のお知らせだ」
「ああああ!!恋とか言うなあああ」
「終了のお知らせだにゃん」
「やめてきしょい」
帰