『やめてよ!!よしなみくん!!』


『うっせぇ!!巨人はあっち行け!!』




私は、小さい頃から大柄で
そのせいで私は小中と、いつも小柄な男の子に虐められ続けていた
でも、それでも








同窓会とか、さ
久しぶりに皆に逢いたいから



私は参加することにしたんだ。










腰まである髪をふわふわのくるくるに巻いて
お化粧をして、この前買ったばかりの可愛いワンピースを着てコートを羽織る




駅からは20分はかかる佐太小学校までの道のりが、楽しみで胸がドキドキする
みんな、元気かな




そして約束の15分前には校門が見えてくるとそこにはもう8人くらいの男女がいた
楽しく盛り上がる人たちはどこか見覚えがあって嬉しくて笑みがこぼれる



「あ!!美香!!久しぶりーうわぁ、綺麗になったねぇ」

「ひ、久しぶり」



久しぶりー、と男女も関係なく声を返してくれるのに

一人だけ
男の人が私を無表情で見つめたあと、ふいっと顔を逸らした



なにかな…?



「つーかさ、小学校はいんね?ほら鈴木もさ。あ、巨人は来んじゃねぇよ!!」


巨人、巨人、わたしをそう呼ぶのは……








『やめてよ!!よしなみくん!!』


『うっせぇ!!巨人はあっち行け!!』










「っ……!!」

彼は、
あのいじめっこだ





「なにやってんのよ、良波」

「うるせぇ。良いから来いよ」



そして鈴木さんも、他のみんなも良波君に続いて中に入り

校門には私だけがぽつんと取り残された








「うっわー懐かしい!!」


「こんな小さかったっけ」



中ではみんなが盛り上がり
私だけが外にいる



じわりと、涙がにじんで
私はそれを振り払うように来た道を戻った




「っ………」




それを彼が見ていたとも知らずに














やっぱり、有給まで使ってくるんじゃ無かった
涙をなんとか堪えて歩くと不意に携帯が鳴った
それは私を頼りにしてくれる後輩で




「もしもし?」

『あ!!繋がった!!よかったぁ、先輩A社のデータどこのフォルダっすか?』

「たしか2009年取引先のフォルダだったかな?」

『おおおあざーっす!!先輩同窓会どうっすか?その、かっこいい奴とか……』

「ん、やっぱり不参加にしちゃったんだ」

『え、マジすか?じゃあ今日俺と飯食いませんか?』

「芦田場君とご飯?」




いいよ、と言おうとしたとき
私は後ろから強く抱き締められた




「わりぃな、美香は俺と飯食うから」




私の携帯を奪い
そう言って勝手にきったのは、良波君だった





「えぇっ!?な、なに?離して、」

「……ぜってぇ離さねぇ」


ぎゅうう!!と強い力でもがいても離れられない
私と同じくらいの身長の良波君の頭が、ぽふりと私の肩に乗る



「な、なんで、私のこと嫌いなんでしょ!!」


「だいっっっ嫌いだっつーの」




さすがにこんなにストレートに言われたら、悲しくなる
それでも良波君は話してくれなくて、私は地面を見て俯いた










「俺より大きな美香は、だいっきらいだ。でも……今は俺より大きくないし?」

「え……」

「このクルクルの髪も、コートも、寒くてほっぺが赤く染まった美香も可愛いし?」

「っ……」

「もう嫌いな理由なんか無いし?……こんな可愛い美香、誰にも見せたくないくらい……好きだよ」






そう言って
彼は私の首にちゅっとキスをした





『同窓会』








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