いつもは街をバイクで走り回り
喧嘩をすれば負けなしなうちのチームのリーダーだが




その実態は、恋人に甘い馬鹿だ





「……………」

「新堂、俺帰りてぇんだけど」

「駄目だ」


女子校の門のところでたってるだけなのに、やたら目立つのは俺たちがわかりやすい不良だからか

いくら文化祭っつったって、まぁ教師や女どもの本音をいったら来て欲しくねぇよなぁ


「ったく、一人で行けよ。なんで俺がお前の彼女の文化祭に着いて行かねぇといけねぇんだよ」

「……わりぃ」


さっさと彼女にこいつを引き渡して、こんな無駄に不躾な目で見られるところから退散しよう


そう思ったときだった




「ふむ。髪の毛の八割が金髪であり、いかにも素行が悪そうに見える高校生ぐらいの二人組」

「あぁ?」

「んだよ、てめぇ」

突然
俺より20cmはちっこいメガネブスに話しかけられた……のか?
とりあえず威嚇のつもりで新堂と睨みをきかすがブスは動じない


「そして……まぁ“世界一”では無いにしろ中々に整った顔立ちだな。君たちが新堂保氏と荒谷翔氏で間違いないだろうか?」

「……なんで俺たちの名前、しってんだよ」

「それは簡単な質問だ。申し遅れたが私は片瀬連慈、新堂保氏と交際関係である木村莉緒と親友関係にあり店番から離れられない彼女に頼まれて君達を迎えに来たからだ」


むしろ堂々と微笑みながら言い切った
つーか、え?何こいつ


「……リオに頼まれたのか?」

「嗚呼。私の仕事は君達を無事我が2Aのタコヤキ屋台までお連れすることだ。さぁお手をどうぞ?」



にこやかな笑顔で差し出された手
は?なにこいつ。手を繋げってか
ばか正直にその手を取ろうとした新堂を殴り、再度低い声で威嚇する


「てめぇ馬鹿にしてんのか。俺たちは餓鬼じゃねぇぞ」

「ん?ふむ、そうかすまない。悪気があったわけでは無いのだがその方が違う屋台などに気が紛れず無事に仕事を遂行出来ると思ってな」

なのに、メガネブスはやはり動じない
なんだ、こいつ……
では行こうか。と、背を向けたブスに思わず感想がもれた




「変な女」



そう言えば、ブスはくるりと振り返り俺を見上げた


んだよ、本当のことだろ……



「それは正しくは無いな。私は男であっても『変』に分類される性格だ。つまり、私を表現するのであれば正しくは『変な人間』だな」


思わず
ぽかーんと間抜け面をして固まると、隣で新堂がぷっと吹き出した
つられて俺も吹き出して笑う


「なんだそれ、変な人間」

「良いではないか変な人間も。少なくとも私は自分の性格を面白いと判断し、楽しみながら毎日を送っている。一般とは異なる『変』も中々に楽しいものだよ。君たちもどうだね?」

「お断りだ」

「やだよ。でもお前、おもしれぇな」



ぽんぽんと丁度良い高さにあるその頭を叩く
断られたにも関わらず、ブス……片瀬はそれは残念だ、なんて楽しそうに笑っていて



新堂を彼女に引き渡したらすぐに帰るつもりだったが


もう少しこいつと話すのもわるくない。そんなことを思った



『変な人間』





「そうだ新堂氏。これを君から莉緒に渡してもらえないだろうか」

「これは?」

「期間限定販売されていた菓子だ。莉緒はそれを偉く気に入っていてな……先日たまたま販売してるのを見かけ私が購入したわけだが、君から渡したほうが莉緒も喜ぶだろう」

「いいのかよ、お前が渡さなくて」

「私は莉緒が喜ぶのならそれで構わないさ」

「……お前良いやつだな。うし、後で俺がなんか奢ってやるよ」

「うえっ!?あ、荒谷が女の子に…!?あのどけちが!!」



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