「俺、ちょっと失敗したなぁー」


椅子に座り紅茶を飲む帽子屋の隣の床に直に座り
太股に顎と右腕を乗せて口を尖らす


シルク地に刺繍がされて、控えめなレースが着いたスカートに頬擦りしながらちらりと見上げると


帽子屋は紅茶を口に含んでから、ちらりとこちらを見て言の先を促した



「あいつが帽子屋の一番になっちまっのが、ムカつくんだけどー」

「……それで最近、やたら俺を見て見てやかましいのか」

「だって俺は帽子屋の一番じゃないしー。せめて精一杯御奉仕するしかねぇじゃん」

「そんなものいらない」


つれない帽子屋にふてくされてストッキングをはいた二の足を左腕で撫で繰り回して
そのまま内腿に手を滑らす




それでも一向に変わらない静かに紅茶を飲む帽子屋が悔しくて
一番になれないのが悔しくて




ちょっと喘いでもらうことにした









「一番と言っても、一番憎んでいるだけだろう。お前はそんなに私に憎まれたいのか?」

「いーや愛されたい。でもさぁ、俺って帽子屋に一番愛されてないし一番憎まれても無いからなんかやなんだよねー。俺も帽子屋の一番になりたいよ?」



帽子屋は拒まない
あまりに一緒にいすぎて、もう帽子屋の肉体は俺のものだ





でも、肉体だけだ
帽子屋の全てを俺のものにしたいのに
帽子屋の心は憎しみでも愛情でもアリスだけのものだ



「…………お前は子猫の時から甘えん坊で我儘で」




「帽子屋?」











「一番呆れる、狂ったやつだよ」






そして猫はにんまりと笑って飼い主を押し倒した



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